病の克服は患者に聞け

ヒトパピローマウイルス感染症<3>どっちが先かで喧嘩かも…

(C)日刊ゲンダイ

「“ヒトパピローマウイルスの感染は、口や喉もありますが、性器の場合は原因のほとんどが性交にあります”と言われました」

 この1月末、東京・新宿の総合病院で、ヒトパピローマウイルスの感染と診断されたOL、岡本昭代さん(仮名=40)は、少しはにかみながら医師に説明された状況についてこう話した。

 担当の医師から続けて、「セックスを経験している女性なら、だいたい2人に1人が感染しています」とも言われ、「特別珍しい感染症ではない」ことに肩の荷を下ろした。だが、医師は、気がかりな言葉を残したのである。

「感染は口や喉にも感染しますが、性器に感染するのは、総じて、性的に活発な女性に多い」

 岡本さんは大手企業の元役員を父に持つ一人娘で、お嬢さま育ち。かつて芸能プロダクションから声をかけられた美人顔で、はじけるようなバストが自慢であった。

 学生時代から複数のボーイフレンドと付き合い、派手な遊びに興じていた。

 大学卒業後、大手の不動産会社に就職。30歳直前に同業者と結婚したが、数年で破局した。以来、独身生活を楽しんできた。

「両親はこの5年ほど再婚を盛んに促すけど、その気にはなれませんでした」

 こう語る岡本さんは、月に1度か2度、赤坂見附界隈の「クラブ」で一杯飲み、気が合う男をゲットしていたという。

 そのため、ヒトパピローマウイルスがどの男から感染されたのか分からない。

 “犯人不明”のままだが、もっと困ったのは、感染を診断された後のデートだった。

 さすがに「クラブ」遊びからは遠のいたが、定期的にデートを重ねているパートナーが1人いる。

 医師から「もしパートナーがいたら、その男性にも検診を受けることを勧めます」と、言われたという。

 男性の場合、オーラルセックスでヒトパピローマウイルスに感染すると、口や喉に保持する割合が、女性の数倍といわれている。

 予防策として、ヒトパピローマウイルスのワクチン(サーバリックスやガーダシル)があるが、接種は性交前の12歳以上で、上限は26歳までとされている。

 今年40歳になった岡本さんにとっては時期遅れの予防策で、他の方法といえばコンドームとなる。しかし、これも完全とは言えない。オーラルセックスを好むなら意味がないからだ。

 岡本さんは「飲んだ勢いで、彼に正直に話そうかと、喉まで出るのですが、勇気がありません。どっちが先に感染させたのか喧嘩になりそうで」と言って苦笑する。

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