役に立つオモシロ医学論文

新型コロナウイルスは気温が上がる夏になれば終息するのか

夏は気温や紫外線量が上がるが…
夏は気温や紫外線量が上がるが…(C)日刊ゲンダイ

 世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症ですが、今のところ終息のメドは立っていません。ただ、感染症が流行するのは冬の寒い時期であり、北半球がこれから夏に向かう中、流行が鈍化、あるいは終息に向かうのではないかという希望的観測があります。

 確かに、風邪症状を引き起こす多くのウイルスは、高温多湿環境でその活性が低下するという研究報告があります。また、夏は紫外線量が多く、人の体内におけるビタミンD合成が盛んになる時期でもあります。

 ビタミンDサプリメントの摂取はわずかながら感染症リスクを低下させることが報告されており、気象条件はウイルスの活動や感染拡大に影響を与える重要な要素といえるでしょう。

 そんな中、気温や紫外線量と新型コロナウイルスの感染拡大に与える影響を検討した研究論文が欧州呼吸器学会に2020年4月8日付で掲載されました。

 この研究では、中国における新型コロナウイルス感染症の症例データと、気温や湿度などの気象データ、さらには紫外線量の計測データを用いて、気象条件と感染拡大の関連性を統計的に解析しています。感染の拡大は新型コロナウイルスの累積発症率とR0値で評価されました。R0値とは「1人の感染者が何人に感染させるか」を表す数値です。R0が1未満になると感染は終息に向かいます。

 解析の結果、平均気温や紫外線量が増加しても、新型コロナウイルスの累積発症率やR0値に変化は見られず、関連性が示されませんでした。2009年の新型インフルエンザが春から夏にかけて世界的に流行したことを踏まえれば、集団的な免疫のない新興感染症は、気温や紫外線とは関係なく感染が拡大してしまうのかもしれません。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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