機能性コンドームは男性だけが着けるとは限らない

写真はイメージ（Ｃ）日刊ゲンダイ

　性感染症予防の基本は、体液や粘膜の接触を防ぐ「コンドーム」を使うことです。ただし、正しく使わなければ意味がありません。ポイントは射精の直前ではなく、セックスの初めから終わりまで、きちんと着けることです。

　それでもすべての性感染症を防げるわけではありません。梅毒や性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどは、コンドームでカバーできない部分に病変ができ、そこから病原体に感染する場合があるので注意が必要です。コンドームは男性が着けるものなので、感度が落ちる（気持ちよくない）などの理由で射精直前まで着けたがらない人も多いと思います。しかし、夫婦など限定されたパートナーでない場合、無防備な女性にとっては非常に不安なはずです。

　そこで以前は「フェミドーム」と呼ばれる女性用コンドームが販売されていた時期がありました。これはポリウレタン製の筒状の大きめのコンドームで、女性が自分で外陰部と腟内を覆うように装着して使います。

　当時のアンケート調査では、２０～３０代女性の５０％以上が女性用コンドームの存在を知っていましたが、実際に使用したことのある人は１０～１５％程度でした。性感染症対策として普及することを期待しましたが、売り上げが伸びなかったようで現在は販売が終了したままになっています。

　コンドームの使用は腟性交だけでなく、オーラルセックス（口腔性交）やアナルセックス（肛門性交）でも必要です。しかし、フェラチオでは普通のコンドームだとゴム臭かったり、潤滑油がついていたりして嫌がる女性も多いようです。そこでお薦めなのがフェラ専用コンドームの「トリップスキン」です。特殊なラップ状ポリウレタン素材でゴム臭がなく、薄さ０．０１ミリと極薄なのが特徴のようです。

　女性へのクンニリングス用には、ラテックス製のフィルム状の極薄シートが売られています。もともとは歯科の口腔外科用に使われる素材で、その名残で「デンタルダム」という商品名で呼ばれています。使い方は女性器をデンタルダムで覆って、その上から男性が愛撫します。リミング（肛門をなめる）でも、同じように使うようです。しかし、デンタルダムを使わなくても、ラップや切り開いたコンドームで代用してもいいでしょう。

　女性器の愛撫に使う指専用コンドームの「フィンドム」という商品もあります。いずれにしても性器の粘膜は薄くて傷つきやすいので、しっかり感染予防を心がけてもらいたいと思います。