専門医が教える パンツの中の秘密

マスクに手袋…味気ない性交もプレーと割り切れば楽しめる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も解除となり、警戒しながらも従来の日常生活を取り戻しつつあります。しかし、第2波の流行を少しでも抑えるためには、引き続き「3密(密閉、密集、密接)」を避けることが重要であることに変わりません。

 これまで長い期間、自粛生活を強いられてきたわけですが、緊急事態宣言の解除で最も気が緩みやすくなるのが「性欲」でしょう。人間の3大欲求は「食欲」「睡眠欲」「性欲」といわれます。このうち「食べること」と「寝ること」は生死に直結するのでやめることはできませんが、意識すれば3密は避けられます。

 しかし、「性交」は3密でなければ成り立たない行為です。もちろん相手が特定のパートナーで、お互いが日頃からコロナに注意しているのであれば感染リスクは低いでしょう。しかし、中には定期的に風俗で性欲を満たしている人もいるでしょう。そのような人はいつまでも風俗を自粛しているのは難しいはずです。どうしても風俗を利用したいなら対策が必要です。

 コロナウイルスはインフルエンザと同じで、唾液中にウイルスが含まれます。ですから会話やキスなどによる飛沫(ひまつ)感染、それからウイルスを含む飛沫が付着したところを手で触って口や鼻、目などの粘膜から感染する接触感染が主な感染ルートです。また、コロナウイルスの場合は、ウイルスが空気中を浮遊するエアロゾル感染の可能性も指摘されています。

 風俗がハイリスクなのは、不特定多数の人が利用するので、利用者から風俗従事者が感染した場合、他の利用者に次々と感染拡大させてしまうクラスター(小規模な集団感染)になるからです。これは性感染症でも同じことが言えます。

 では、このコロナ禍で風俗を利用したい場合、どんな対策が必要なのか。それは日常生活の注意と同じです。性交の前後にきちんと手を洗う。お互いマスクを着けたままで、キスや口での愛撫は行わない。手にも薄手の使い捨てゴム手袋をお互いがする。男性はコンドームをきちんと着けましょう。そして潤滑油をたっぷり使って、お互いの性器を手で愛撫する性交にとどめるのがいいでしょう。

 新型コロナは、まだわかっていないことばかりです。中国で新型コロナを発症した38人の男性を対象に行った研究では、6人の精液からウイルスが検出されています。別の研究では、精液内のウイルスは、患者が陽性と診断されてから平均31日後に消滅していたという報告もあります。

 味気ない性交になりますが、普段と違った“異色プレー”と思えば、少しは満たされるのではないでしょうか。ただ、ハイリスクであるのは間違いないのでお勧めはしません。

尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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