セックスが痛い

「浮気バレたが真面目に謝って許してもらえた」の勘違い

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 最近、男性芸能人の浮気のニュースを耳にしたばかりですが、浮気が性交痛の原因につながることは珍しくありません。

 浮気していた側の平謝りで、表面上は「これまで通りの夫婦やカップル」に戻ったとしても、心に受けた傷はなかなか消えません。「別の女性のことを考えていた」「私に嘘をついていた」という事実を知ったことで生じた警戒心や嫌悪感は、年数が経過しても癒えない場合もあります。それが無意識に性交時の痛みへと表れるのです。

 特に夫婦間のセックスは、信頼や安心があってこそ、本来の喜びに達せられます。しかし、精神的なダメージが大きい場合は、喜びどころか、身体的な痛みにつながりかねないのです。

 K子さん(40代)は長男が小学4年生の時、夫の浮気を知りました。それから10年以上が経ち、子供が成人した今でも、あの時抱いた絶望感や怒りが時折浮かびます。夫とのセックスの最中に、思い出して泣いてしまうことも。

 性の心の問題に詳しい「こぐまカウンセリング」の潮英子さんによると、パートナーの浮気が原因でセックスできなくなったという相談は多く、その場合「痛まなかったとしても最後までできない、嫌悪感で挿入が無理」と話す方がよくいるそうです。

 浮気をする側は、「バレても真面目に謝ればなんとかなる」と思うかもしれません。された側も、その時は「謝罪を受け入れ、一緒に人生を歩もう」と決心するかもしれません。しかし、心の奥底の気持ちは本人にも分からない。

「女性の体は構造的に受け身であり、相手の全てをのみ込む。だからこそ、相手への信頼感がないと、セックスは恐怖を伴います。しかし前向きに関係性を保ちたいのであれば、カウンセリングで徐々に回復するケースもあります」と潮さん。

 気持ちの切り替えだけでは修復できないところがある。専門家への相談も考えてほしいと思います。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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