感染リスクを下げる店と客の対策 歌舞伎町で指導する医師に聞く

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの感染拡による緊急事態宣言の全面解除から9日で1カ月半。東京都の1日あたりの新規感染者数は224人となり、4月17日の206人を超えて過去最多となった。さらに10日の都の感染者数は243人で、2日続けて200人を超え、過去最多を更新してしまった。

 夜の街に出かけるのは控えたいが、そこが職場だったり、何らかの事情でお酒の場が避けられなかったりする人もいるだろう。そこで、感染リスクを下げるための店の選び方、飲み方を岩室紳也医師に聞いてみた。

 岩室医師は新規感染者の急増が目立つのは都内随一の繁華街・新宿歌舞伎町でホストクラブやバーなどの感染症対策を指導し、新宿二丁目営業再開のためのガイドラインを監修した、感染症に詳しい公衆衛生医だ。

「私が感染症の対策を指導する場でお話しするのは、ウイルスをゼロにすることはできないが、接触するウイルス量を減らすことはできるということです。手についたウイルスを飲食等を介して口に直接入れなければ感染リスクはぐっと下がります。ですからそのための工夫が大切だと伝えています。例えば、グラスはお客さんに提供する直前に洗って使い捨てのペーパータオルで拭く、洗い場の蛇口をレバー式に変えることで直接蛇口に触らないようにする、手洗いから戻った客にはその場で手指をアルコール消毒してもらう、そのために小包装のアルコール入りのお手拭きを用意する、などをお話ししています」

 客が大勢いる場合はサラダなどは最初から取り分けて出す。そしてできるだけ客の手元に置くようにお願いする。他人の飛沫が少しでもかからないようにするためだ。

「お客さんにマスクを強要することはできません。なので店のスタッフは全員がマスクをして、話をするときは正面ではなく斜めに位置するように心掛けるよう話しています。クーラーをかけるときも窓やドアを開けたままで、換気しながらクーラーを使うといいでしょう」

 カラオケは歌う人の飛沫がかからないようにグラスや食器の位置を考える、歌う人の正面に人がいないようにする。

 これらは岩室医師が店側への感染症対策として話していることだが、それは客がお店を選ぶ基準や感染リスクを減らす飲み方になりうると言う。

「どうしてもお酒を飲まざるを得ない場合はこうした対策をしているお店を選ぶのも手でしょう。感染リスクがゼロになるわけではなりませんが、下げることができます。お客さんもお店が具体的にどのような感染症対策を行っているのか、を理解してそれに協力することが感染リスクを軽減することにつながります。ですから、新型コロナの話題を避けるのではなく積極的に話をして、店と客が感染リスクを下げて楽しくお酒を飲もうという同じ意識を持つお店を選ぶのが良いと思います」

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