身近なウイルス感染症といえる「ヘルペス」にはいくつか種類があることを前回お話ししました。今回は症状や、予防と治療に使われる薬について紹介します。
ヘルペスの共通した症状として、水疱やびらん、発熱などがあげられます。単純ヘルペス(HSV)で起こる口唇ヘルペスは、口角や口内に水疱ができます。同じく性器ヘルペスは性交渉によって感染する性感染症で、性器に発症して排尿困難を引き起こすケースもあります。新生児ヘルペスは出産時に母親から子供へとうつるもので、死亡例やヘルペス脳炎という後遺症を残すこともありますから注意が必要です。
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が引き起こす水痘(水ぼうそう)は、飛沫感染や接触感染に加えて空気感染もすることから、子供が学校などで感染するケースが多い感染症です。一度かかるとその後はかかることはありませんし、ワクチンもあります。そのため予防も可能ですが、成人になってから感染した場合、重症化して肺炎や脳炎を引き起こすこともあります。油断はできません。成人で感染が疑われる場合には、速やかに受診して治療を始めましょう。
帯状疱疹は腹部に帯状の湿疹が出て激しい痛みを伴い、湿疹が治まった後も痛みが継続するケースもあります。ですから、痛みに関しても早期の治療が必要です。
ヘルペスの治療には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルといった核酸の複製を阻害する薬が用いられます。これらには、内服、外用(塗り薬)、注射薬が用いられます。
重症度に応じて医師が薬の種類や剤形を判断しますが、いずれにせよ早期に治療を開始することで重症化を防ぐことができます。感染が疑われる場合は、速やかに受診することをおすすめします。
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