セックスが痛い

死ぬまでに妻と手をつなぎたい…でも言い出せない男たち

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 コロナ禍で、電車に乗ることを数カ月控えていましたが、ようやく必要最小限、出歩くようになりました。都内はコロナ感染者数が増加傾向にあるので、週末の電車はガラガラ。車内はのんびりした雰囲気で、ちょうど目の前に座った高齢のカップルが、仲良く肩を並べてお菓子をつまみながら会話をしていました。

 また、ある日は買い物の帰り道に、やはり高齢のご夫婦が手をつないで前方を歩いていました。日本の中高年カップルは、あまりスキンシップをしないといいますが、こんなふうに普段からスキンシップされているご夫婦もいるのだと温かな気持ちになります。

 なぜ、温かな気持ちになったかといいますと、先日グループホームを経営する男性から、「多くの住居者が妻などのパートナーと手をつなぐ、抱き合うなどスキンシップを最期に望まれるけど、普段から手も触れない生活だったため言い出せず、寂しく過ごす」と聞いたからです。

 性の3要素に「生殖性」「快楽性」「連帯性」があります。生殖が終わった年代には、快楽と連帯の性が残っています。快楽性の意味は字のごとく。連帯性は、誰かとつながり、確かめ、安心を得ること。つまり、性はセックスだけに限らない。前述のカップルのような普段からのスキンシップがお互いの関係性を豊かにしていきます。

 中高年の後半に差し掛かると、男女ともに性機能に支障が表れ始めるのは自然なことなのに、それをそのまま受け入れている人は少ないのではないでしょうか? 特に男性のみなさんは、「勃起しなきゃ男じゃない」という意識にとらわれすぎのように感じます。

 男性は、今まで持っていた「男とは」とギャップがあるのかもしれません。しかし、痛がる妻にセックスを迫る男性より、普段からの触れ合いやコミュニケーションを大切にする男性の方が、女性にとっては安心を覚え、キュンとする存在になると思います。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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