コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

夫が感染…妻はその時<前編>大丈夫だとタカをくくって…

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 7月初めはいわゆる“夜の街”での感染が多かった新型コロナウイルスだが、ここ1カ月の間に家庭内感染が急増している。家族の誰かが知らないうちに感染していたが無症状だった、あるいは発熱などの症状が出てから検査を受け、感染が分かった時にはほかの家族にも広がっていた――。そんなケースが相次いでいるのだ。

 都内のマンションで44歳の夫と2人で暮らしている織本まやさん(35歳・仮名)も、感染に気付いていなかった夫とずっと一緒に日常生活を続けていた。発熱した夫がPCR検査を受けたところ感染が発覚し、隔離入院となった。濃厚接触者になってしまったまやさんも検査を受けたが、結果は「陰性」だったという。家庭内感染を免れたまやさんはどんな生活を送っていたのだろうか。

 夫が「少し熱っぽいから風邪をひいたかもしれない」と言い出したのは7月18日だった。夫は年に何度も風邪をひくので今回もそうだろう……2人ともそう考えていたという。

 しかし、37度ちょっとだった熱が翌朝には38度まで上昇。都内の新型コロナ感染者が再び増えていたこともあり、まやさんは「念のため検査を受けた方がいい」と提案した。保健所では軽症者はPCR検査を受けられなかったため、夫は翌19日に自費診療でPCR検査を受け付けているクリニックに連絡を入れ、4万円ほどかけて検査を行った。

「検査結果は翌日に分かるとのことで、その日も夫と一緒に過ごしました。まさか感染しているとは思ってもいなかったので、普段と同じ生活です。翌日は夫も私も仕事で家を空けました。その時点でもとくに心配はしていなかったんですが、夕方になって夫から電話がかかってきて、『陽性だった。明日から隔離入院になるから、今日は帰ってこない方がいい』と言われたんです」

 まやさんはまさかの事態に動揺した。夫の症状は悪化しないだろうか。ひょっとしたら自分も感染しているかもしれない……。迷いに迷ったが、そのまま他人との接触を避けつつ、その日はホテルに泊まることにした。

 ホテルの部屋にこもり、これまでのこと、これからのことを考えた。そういえば、夫は熱が出た1週間ほど前に飲み会があったと言っていた。数日後、その店で新型コロナのクラスターが発生したというニュースを目にしたから、そこで感染したのではないか。

 だとすると、感染していた夫と10日ほど一緒に生活していたことになる。食事も一緒に取っていたし、同じベッドで寝起きしていた。たまたま夫婦生活こそなかったが、検査当日に「どうせコロナじゃないから大丈夫」と、わざと何度もキスを繰り返した。いったい、なんであんな軽率なことをしてしまったのか……。

「夫や自分のこと以上に心配だったのが、仕事で接触があった人たちのことでした。もし自分が感染していたら、多大な迷惑をかけることになるし、自分がうつしてしまったとなれば、どうお詫びすればいいのかわかりません。その先も仕事で人に会う予定が詰まっていたので、キャンセルすべきかどうかも悩みました」

 まずは自分が感染しているかどうかをはっきりさせるため、まやさんは夫と同じクリニックに連絡を入れ、PCR検査を受けた。翌日にわかった結果は「陰性」だった。

「先生から『感染していたダンナさんと一緒に暮らしている奥さんにうつらなかったケースは珍しい』と言われました。とにかくホッとしました」

 なぜ、まやさんは家庭内感染を免れたのか。いくつか思い当たるところがあるという。 (つづく)

関連記事