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3日なら問題なし 「胃もたれ」続き病院に行くタイミングは?

消化器内科医の工藤あき氏
消化器内科医の工藤あき氏(提供写真)

 食物は、胃の蠕動運動によって消化し、十二指腸、小腸に送られます。食事の後におなかが張ったり、胃がムカムカしたり、こうした「胃もたれ」の症状は、暴飲暴食や脂っこい食事をすることで胃に負担がかかり、消化が遅くなるために起こります。偏食やストレスによる自律神経の乱れも原因になるのです。規則正しい食事、腹八分、寝る3時間前には食事をしないようにするなど生活習慣を見直しましょう。症状は3日程度は続いてもそれほど気にすることはありません。

 しかし、市販の胃薬を飲まないと調子が悪い日が1週間も続くようなら、かかりつけ医に診察してもらうことを考えたほうがいいでしょう。

 考えられる症状は、まず「慢性胃炎」です。ピロリ菌の感染によって胃の粘膜に炎症が起きている場合もあるので、病院で適切に除菌する必要があります。胃潰瘍や胃がんのリスクにもなります。

 次に「機能性ディスペプシア」です。これは胃もたれ、胃の痛みなど腹部の症状があるのに内視鏡で見ても所見がないのが特徴です。病態としては、内臓の知覚過敏が起きている状態。ほかにストレスによる胃の運動異常など複合的な原因になります。上腹部症状で診察に来た患者さんの40~50%は、機能性ディスペプシアと診断されています。

 そして、最悪の場合が「がん」です。胃がんは内視鏡の検査で分かりますが、内視鏡では分からない「すい臓がん」や「胆のうがん」の可能性もあることは知っておきたいです。すい臓は胃の裏側に位置し、がんも静かに進行しますから自覚症状がほとんどありません。しかし、長引く胃の不調や体重減少が出ることがあるので、胃もたれも続くようなら可能性を考える必要があります。

 胆のうは胃の隣に位置します。胆のうがんの患者さんは白目が黄色っぽくなったり便が白っぽくなることがありますが、いずれも初期は自覚症状がなく、胃の不快感が発見につながることがあります。

 また、胃がんの場合、ただの胃もたれと思い市販の胃薬で症状が一時的に緩和されたりします。それで発見が遅れるケースがあります。

 やはり、大病を患っていることがあるので、長引く胃もたれは、医師にかかり内視鏡検査、そして全身の精密検査を行うことを推奨します。

▽工藤あき 1988年、熊本県出身、久留米大学医学部卒業。工藤内科副院長。総合内科診療医。高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病をはじめ、胃カメラでのがんの早期発見、心身を整える漢方治療を得意とする。消化器・内視鏡ドクターとして日々診療を行いながら、腸内フローラ・腸内環境と美肌・アンチエイジングの関連性に注目している。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors―名医のいる相談室―」(QRコード)にて解説します。

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