時間栄養学と旬の食材

必須アミノ酸が豊富で快眠を誘う「大豆」は朝に食べる

「畑の肉」と呼ばれる大豆はタンパク質が豊富
「畑の肉」と呼ばれる大豆はタンパク質が豊富

 十五夜に次いで美しい月とされる十三夜を眺めるのは、日本固有の風習のひとつです。栗や豆の収穫期に当たるため、「栗名月」「豆名月」と呼ばれることもあります。旧暦の9月13日、2020年は10月29日で、その別名のとおり栗や大豆をお供えします。

 お供え物にあるように、国産大豆の旬は秋から冬。収穫後に乾燥され、余分な水分がなくなることで豆自体が引き締まり、栄養価も風味も高いです。

 大豆は「畑の肉」と称されるほどタンパク質が豊富です。特に体の中で作り出すことのできないアミノ酸(必須アミノ酸)をバランスよく含んでいます。

 また、大豆タンパク質の消化吸収率は、納豆で91%、豆腐では95%であり、とても効率よく良質なタンパク質を取ることができます。

 その他、総コレステロールを低下させる大豆レシチン、ビフィズス菌を増殖させる作用のあるオリゴ糖、便通改善、小腸での脂肪吸収を抑制、脂質異常症の改善が期待できる大豆サポニン、骨粗しょう症の予防や更年期の不調を改善するといわれるイソフラボンが含まれます。アメリカ政府が発表した、がん予防に効果があると考えられる食品「デザイナーフーズ」にも挙げられているほどです。

 睡眠との関わりも注目されており、サポニンは良質な睡眠を促す健康食品に用いられています。また、イソフラボンをたくさん含む食品を朝に食べ、光を十分に浴びることで、睡眠の質を改善する効果も報告されています。大豆はタンパク質が豊富なので朝食向きと言われていますが、快眠のためにも朝食に取りたい食材と言えるでしょう。

 大豆サポニンは、蒸して食べると効率よく摂取できるのでおすすめです。

 ただし、蒸す手間が面倒な場合は、鍋に好みの味のつけ汁を作っておき、フライパンで皮にヒビが入るくらいまで煎った大豆を入れて、一晩冷蔵庫で寝かせるだけの調理法もあります。

 冷蔵庫で保存すれば日持ちしますので、作り置きにいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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