コロナ第3波に備える最新知識

食品、風呂、トイレ…中高年がコロナ禍で注意すべきこと

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 12月と1月は一年で一番多くの人が亡くなる。それは厚労省が公表している人口動態統計を見ればハッキリする。新型コロナウイルスとは無縁だった平成30年の12月には12万5371人、平成31年の1月に13万7787人がこの世を去った。平成30年4月から平成31年3月で最も死者数が少なかった6月が9万8435人だから、その多さがわかるだろう。

 現在、テレビや大手新聞社が新型コロナの恐ろしさを繰り返すが、現在新型コロナで亡くなったとカウントされている人の数はおよそ2000人。それもPCR検査で陽性だった人が亡くなった数であって、新型コロナ感染が死因と関わっているかどうかはわからない。拡大が予想される新型コロナ感染症ももちろん心配だが、これからの季節で本当に注意すべきは、「誤嚥による窒息」「風呂での溺死」「脳梗塞」「心筋梗塞」「胃腸の感染症」などではないのか。長浜バイオ大学医療情報学の永田宏教授が言う。

「今年の冬は新型コロナ感染症の患者さんでいっぱいになる病院も出てくるかもしれません。それを考えると新型コロナの感染リスクが高くて重症化しやすい中高年は、病院に通ったり、入院したりしないよう、例年以上にこうした病気にならない工夫をしなければなりません」

■血圧管理と便秘対策

 何を、どの程度工夫するかは人によって異なる。例えば誤嚥が多い高齢者はお餅をのどに詰まらせて窒息しないように、お餅を控えた方がいい。寒い夜にトイレでいきんで脳卒中で倒れてそのまま帰らぬ人になる場合も多い。便秘気味の人は体を適度に動かし、食物繊維の多い食べ物を口にしたり、体をひねるなどして便秘防止に努めることも大切だ。

 入浴は薬と同じような降圧効果があるといわれる。お風呂好きな中高年は湯船で血管が広がり、急激な貧血から失神してお風呂で転倒したり、湯船で溺れたりしないように血圧管理に気をつけたい。冬はノロウイルスやロタウイルスなどによるウイルス性胃腸炎を発症して命を落とす人もいる。食べ物の管理にも気を配りたい。

「新型コロナになりたくないからといって家に閉じこもっていれば、高齢者は筋肉が落ちて屋内での転倒が増え、寝たきりになるリスクも高くなります。これからの季節は命の危険が迫る時期です。新型コロナの新規感染者数などに目を奪われずに、自分のリスクに応じたリスク対策をとることが大切です」

 新型コロナについては、「若い人」「夜の街」「Go To トラベル」「空気感染」など感染を広める犯人捜しが話題になる一方で、肝心の対策については春先と大きく変わっていない。これだけ多くの事例を国を挙げて調べてもよくわからないというのは調べ方に問題があるのか、今の科学・医学の限界なのか。いずれ検証によりその答えは明らかになるだろうが、いま私たちが気にすべきは、そんなあやふやなことに惑わされずに、新型コロナの基本的な感染対策の徹底と、個別のリスクに応じた対策ではないか。

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