コロナ第3波に備える最新知識

日頃から「血栓」をつくらないためにはどうすればいいのか

1時間に1度足のブラブラ運動を
1時間に1度足のブラブラ運動を(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスに感染した人は「血栓」を引き起こすという。怖いのは無症状や軽症であっても、感染していれば血栓ができる人もいることだ。ときにそれが原因で病状が急激に悪化して命が奪われることもある。冬はただでさえ心筋梗塞や心不全などの心臓病や脳梗塞といった血管の病気が多く起こる。どうしたらいいのか? 東邦大学医学部名誉教授で循環器疾患が専門の東丸貴信医師に聞いた。

 厚生労働省の統計によると、心臓病による死亡数は1月が最も多く、次いで2月、12月、3月と冬季に集中、夏季のおよそ1・5倍に上る。寒さで自律神経が刺激され、朝の外出時には交感神経の活動が強まる。すると体熱を外に放散しないように血管が収縮するとともに、血圧も上昇する。月曜日の午前中に脳梗塞や心筋梗塞が多いのは、日曜日の休養後の仕事始めによるストレスが原因だと考えられる。

 しかも、冬は交感神経の活性化だけでなく、食生活の乱れやアルコールの取り過ぎもあり、血管が収縮したり血栓ができやすくなる。さらに、寒冷期の血圧の上昇、特に暖かい室内から寒い部屋や屋外に移動する際の血圧の急激な変動であるヒートショックで心臓や血管の負担が増え、心筋梗塞や脳卒中が起こりやすくなる。

 だからこそ、高血圧症などの生活習慣病や動脈硬化による心血管病を有する人は、血栓ができやすい新型コロナウイルス感染症にはとりわけ注意が必要だ。とはいえ、感染を完璧に防ぐのは難しい。普段から血栓ができにくい体にするにはどうすればいいのか?

「デスクワークの多い人は1時間に1度は立ち上がって数分でも歩き回るか、足のブラブラ運動をすることです。さらに2時間に1度は席を離れて軽く体を動かしましょう。全身の筋肉が動かないと血流が滞り、代謝も行われないために血栓ができやすいからです」

 心臓に血液を戻す静脈には、皮膚に近いところにある「表在静脈」と、深いところにある「深部静脈」がある。下肢の深部静脈で血液が固まり(凝固)血栓ができることを「深部静脈血栓症」(DVT)といい、その血栓が心臓に飛んでいって肺動脈に詰まる病気を「肺血栓塞栓症」(PE=エコノミークラス症候群)という。座り続ける人はDVTやPEが多く、新型コロナウイルス感染症でもPEになる人が少なくない。

 食事も大切だ。血栓リスクを抑える効果が期待できる食材もある。

「納豆に含まれるナットウキナーゼには、血栓を溶かす作用があります。クエン酸には、血液中の血小板が過度に集まるのを抑制する働きがあります。レモンやグレープフルーツなどのかんきつ類や梅干しなどに多く含まれているので、意識して取るといいかもしれません。ナッツ類やアボカド、カボチャなどに多く含まれるビタミンEは、ビタミンC同様で活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があり、過酸化脂質の生成を抑えてくれます。活性酸素によって血管内の脂質が酸化されると、過酸化脂質が発生します。それが血管を硬くし、詰まらせる原因のひとつとなっています」

 ポリフェノールにも抗酸化作用があるといわれ、それを摂取できる食品はブルーベリー、大豆、ゴマ、ソバなど。緑茶やココアなどといった飲み物にも含まれているという。

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