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日本人の多くが不足している亜鉛 牡蠣には驚きの含有量が

亜鉛たっぷり
亜鉛たっぷり(C)PIXTA

 生もよし、鍋もよし、フライもよし。牡蠣のシーズン到来だ。牡蠣はビタミン、とくにビタミンB群をはじめ、亜鉛、鉄などのミネラル類、アミノ酸の一種であるタウリンなどを豊富に含む食材。そのなかで要注目なのが亜鉛。生殖機能の改善、精子の形成に深くかかわる栄養素だが、あらゆる食品のなかで牡蠣の亜鉛含有量は断トツだ。文科省の「日本食品標準成分表」によれば、100グラム当たり生で13.2ミリグラム、加熱して14.5ミリグラム、薫製で25.4ミリグラムの亜鉛を含む。精力増進にいいとされるウナギのかば焼き(2.7ミリグラム)、脂身のついた牛のリブロースステーキ(6.3ミリグラム)、あるいは牛の生のレバー(3.8ミリグラム)をはるかにしのぐ。同じ貝類であるアワビ、アサリ、シジミはもちろん、タコ、カニなどほかの魚介類も牡蠣の足元にも及ばない。

 この亜鉛、体内に約2000ミリグラム存在するといわれるが、体内で生成することは不可能で食事で摂取するしかない。「日本人の食事摂取基準」において厚労省は、12~75歳の男性で1日当たり10~12ミリグラムの摂取を推奨しているが、日本人の多くは亜鉛の摂取量が足りない。亜鉛欠乏は、免疫機能障害、皮膚炎や味覚障害、慢性下痢、成長遅延、性腺発育障害などの原因になるともいわれる。また、前立腺・精子との密接な関係からか、男性の健康を中心に語られることが多いが、感情のコントロール、記憶力の維持を担う神経伝達物質の生成に亜鉛は関係しており、女性の健康維持にも欠かせない物質だ。

 亜鉛は汗のなかにかなりの量が含まれており、発汗量が増えると体内から流出する量も増す。そのため、アスリートに亜鉛不足の症状が見られることもある。食べ過ぎは禁物だが、亜鉛たっぷりの旬の牡蠣でファイトだ!

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