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がんの診断や治療方針を立てる時に欠かせない検査を担う

難波動物病理検査ラボの難波裕之院長
難波動物病理検査ラボの難波裕之院長(提供写真)
難波動物病理検査ラボ(難波裕之院長)/病理検査

 難波院長は、解剖病理の専門医。同院は、一般の動物病院から依頼された検体から病気の種類や程度を調べる“病理検査”の専門機関だ。

「病理検査は、特にワンちゃん、ネコちゃんのがんの診断や治療方針を立てる時には欠かせない検査になります」

 一般の動物病院でも病理検査を行っている施設はある。しかし、慎重を期する病気の疑いでは、病理専門医にも診断を求めた方がいい場合がある。

「たとえばワンちゃんのがんの2割を占める代表的な皮膚がんの『肥満細胞腫』があります。腫瘤が盛り上がるタイプもあれば、発疹状に表れるタイプなどがある。良性の脂肪腫や皮膚病に似ていて、見落としが怖いのです」

 肥満細胞腫の場合には広範囲の切除が必要で、取り残しがあれば再発が多い。病理診断を誤れば、手術を繰り返すことになり、傷痕も大きくなる。

「かかりつけ獣医師の先生方は日々、幅広い病気治療の勉強や研究に追われています。その状況の中で正確な病理検査を行うのが、私たちのような専門機関の役割です」

 送られてくる検体には、きちんと病変細胞が採取されていないこともある。

 地域密着型の同院では、近隣のかかりつけ獣医師向けに細胞診勉強会を開催したり、出張の院内・術中細胞診なども行っている。その辺が他の検査機関にない特色だ。

「病理検査機関から出される診断報告書の内容は、通常、飼い主さんにも渡されます。大切なペットの病気を知るためにも、きちんと目を通すようにしてください」

 毎年、砧公園で行われる世田谷区主催の動物フェスティバル(10月下旬~11月上旬)では、難波院長が病理検査の知識やペットのがんなどについて直接、解説している。

《病院データ》
●住所=東京都世田谷区上馬3-18-11-1204
●Eメール=BZG14356@nifty.com

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