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CDC週報で報告 ファイザー新型コロナワクチンの安全性は?

新型コロナウイルス感染症の国内1例目のワクチン接種を受ける、国立病院機構東京医療センターの新木一弘院長(左)
新型コロナウイルス感染症の国内1例目のワクチン接種を受ける、国立病院機構東京医療センターの新木一弘院長(左)(代表撮影)

 2021年2月17日、日本でも新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりました。米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したこのワクチンは、メッセンジャーRNAワクチンと呼ばれる新しいタイプのワクチンです。新型コロナウイルス感染症の予防効果は95%と報告されており、有効率に優れたワクチンと言えるでしょう。

 しかし他方で、ワクチン接種後にアナフィラキシー(重度のアレルギー)反応が出たとの報道もあり、その副反応に不安を覚える方も少なくないように思います。そんな中、新型コロナウイルスワクチンによるアナフィラキシー反応の頻度を解析した論文が、CDC(米疾病対策センター)が発行している疫学週報に21年1月15日付で掲載されました。

 この論文では、20年12月23日までに報告されたファイザー・ビオンテック社製の新型コロナウイルスワクチン189万3360回分の接種データが解析されています。副反応は4393件(0・2%)で報告されており、このうちアナフィラキシーを含む重度のアレルギー反応が疑われる症例175件について精査されました。

 その結果、アナフィラキシー反応の基準を満たした症例は21件で、発生頻度はワクチン接種100万回当たり11・1件です。なお、ワクチン接種からアナフィラキシー反応が発現するまでの時間は、7割の症例で15分以内でした。また、アナフィラキシー反応による死亡は報告されていませんでした。

 アナフィラキシー反応を過去に経験したことがある人では注意が必要かもしれませんが、新型コロナウイルスワクチンの安全性は総じて高いと考えられます。鎮痛薬によるアナフィラキシー反応が、1万人当たり約13件であることと比較すれば、その頻度の低さがよく分かると思います。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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