時間栄養学と旬の食材

ホタテはグリシンが豊富 寝る前に食べると目覚めがスッキリ

ホタテ
ホタテ

 ホタテの主な産地は北海道や青森県など東北から北の地域です。ホタテと聞いてイメージする部分は貝柱でしょう。100グラム当たりの糖質は3.5グラムで、そのほとんどは、でんぷん同様の性質を示すグリコーゲンと呼ばれる多糖類になります。このグリコーゲンは月によって量が変動し、3月から徐々に増え始めることが報告されています。なので、いまはまさに旬のはしりの時期です。

 グリコーゲンは唾液によって分解されることで甘味を感じますが、ホタテの甘味の正体はそれだけではありません。アミノ酸の一種であるグリシンです。グリシンは上白糖の90%程度の甘味があり、貝柱100グラム中に2000ミリグラムも含まれています。この値は甘エビの量とほぼ同じ! 寝る前にグリシンを取ると、翌朝の目覚めがスッキリし、疲労感も軽くなったという研究もありますので、疲れた時はぜひ夜にホタテを召し上がるとよいでしょう。

 さらにタンパク質が貝柱100グラム当たり16.19グラム含まれており、アサリやシジミが6~7グラムであることを考えると非常に多いことがわかります。それに比べて脂質は約1グラム前後と非常に少なく、その主成分がDHAやEPAなどのn-3系脂肪酸です。

 最近では、ホタテの脂質を濃縮して得たホタテオイルが魚油より酸化しにくくより体内に取り込まれやすいという特徴を持つので、価格高騰中の魚油に替わるのではないかとも報告されています。

 とはいえ、生で食べる場合はわずかな量ですので、高タンパク低脂質の食材としてとらえておきましょう。先ほどのグリシンでいえば夜に食べるとよいのですが、この高タンパク質量は朝シャキッとしたいときにぜひゴハンなどの炭水化物と一緒に取りたいですね。ご自身の目的に応じて取る時間を工夫してみてはいかがでしょうか。

 その他、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富です。その中で特にタウリンやビタミンB群、葉酸は水に溶けやすい性質を持っているので、焼く、炒める、揚げる調理法がおすすめ! ゆでる場合は汁ごと食べられるスープなどでもいいでしょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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