早期発見が何よりでしょう。お笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおさん(46)のことです。血尿が出たことに違和感を覚えて受診したところ、ステージ1の膀胱がんで手術されたといいます。
膀胱がんは、腫瘍が粘膜を超えて筋肉に達してしまうと、膀胱を全摘。そうなると、人工膀胱を作り、ビニール袋のようなものに尿をためる生活を余儀なくされますから生活の質が大きく損なわれてしまいます。早期発見できるかどうかは、とても大きな意味を持つのです。
<痛みのない血尿は身体からの大きなサインです。トイレに行く度、毎回血尿が出る症状というわけでもないので、痛くもないし病院に行かない方が多いと聞きました。でも、放置しておくと手遅れになり大変な手術をしなければならない状況になってしまいます。何事も、早目の処置が大事なんですね>
伊達さんがブログにそう記している通りです。胃がんも乳がんも大腸がんも肺がんも、どんながんであれ、初期は痛みがありません。痛みがある血尿は、膀胱がんの代表的な症状ですが、痛みのあるケースは進行している可能性が高い。痛みがなくて何らかの症状があるときこそ、早期発見のチャンスなのです。
私も3年前に自分でエコー検査によって膀胱がんを見つけました。がんでないことを祈りましたが、案の定ですぐに検査して入院。年末ギリギリまで仕事をし、12月28日に手術を受けると、31日には退院しています。仕事始めの1月4日からは通常通り東大病院に出勤しました。
そんなに早く復帰できるの? と思われるかもしれません。早期の膀胱がんは、一般の方もこのように短期間で退院することができ、職場に戻れるのです。
ほかには、頻繁に尿意を感じる、排尿時に痛みがある、などの症状が知られていますが、何かおかしなことに気づいたらとにかくすぐに受診することをおすすめします。
伊達さんは、3カ月に1回の膀胱検査で経過をチェックすると書いています。実は膀胱がんは再発しやすい。私も最初の1年間は3カ月に1回、2年目からは半年に1回検査を受けています。10年目までは続けるつもりで、その後は1年に1回の検査を恐らく死ぬまで続けるでしょう。
膀胱がんのリスクは、喫煙です。膀胱がんのうち、男性は50%以上、女性は30%が喫煙によるとされます。愛煙家の伊達さんは、がんをキッカケに禁煙を検討しているそうです。
特定の化学物質も膀胱がんのリスクで、飲酒との関連も指摘されています。特に飲酒で顔が赤くなる人は要注意です。これらのリスクがある方は1年に1回、検尿や尿細胞診を受けるといいかもしれません。
一方、水分を取ると、膀胱がんのリスクが下がるという報告もあります。そのメカニズムは分かりませんが、尿に含まれる発がん物質の濃度が下がるためだと思われます。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵