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立ち上がるとめまいが…どのくらいの頻度で病院に行くべき?

在宅診療医の山中光茂氏
在宅診療医の山中光茂氏(C)日刊ゲンダイ

「めまい」の背後には多様な疾患の可能性が隠れています。一般的なのは、座ったり寝ている状態から立ち上がった時に、血圧が急に下がり、めまいを起こす「起立性低血圧」でしょう。

 テレワークが普及し、一日中同じ姿勢で座っていると立ち上がった時に血圧が下がりやすく、脳に酸素が届かずにふらついてしまいます。

 また女性は男性の2・5倍めまいを起こしやすいといわれます。女性の方が月経や更年期障害、貧血とホルモンバランスが崩れやすい体質のためです。ストレスや睡眠不足も自律神経が乱れ、めまいの原因になります。

 立ち上がった時、頻繁にめまいを起こすようなら、かかりつけ医に相談しましょう。

 ただし、重病が隠れていることが疑われるようなら1回でも検査が必要なことがあります。その場合、めまいとほぼ同時にサインが表れます。大きく2つあり、浮遊性のめまいと回転性のめまいです。

 浮遊性のめまいがある時は、脳梗塞や脳出血をはじめ脳血管系の病気が引き起こしている可能性があります。立ち上がった時にふわふわしたり、くらくらします。同時期に頭痛が続いたり、手先がしびれたりしたら、すぐに病院にかかることをおすすめします。

 回転性のめまいの場合、ふらつきとともに目の前がぐるぐる回るような感覚に襲われます。耳鳴りや耳の閉塞感があれば内耳の病気であるメニエール病のケースが多いです。通常は耳鼻科でメリスロン錠を処方してもらいます。

 ほかに、薬の副作用が原因のめまいも少なくありません。向精神薬、睡眠薬、パーキンソン病の治療薬、高血圧の降圧薬を内服している方は注意が必要です。

 とくに降圧薬を飲んでいる方は、血圧が急激に下がることによるめまいを起こすケースがあります。血圧の症状は回復しているのに飲み続けている方にも多いため、頻繁にめまいが起こるなら一度かかりつけ医に相談しましょう。

 回転性のめまい(内耳性)の方もメリスロン錠を処方してもらったのに内服して1カ月経っても改善しなければ注意が必要です。脳に原因がある可能性がありますから、脳外科を受診してもらうようすすめています。

 めまいは軽く考えられやすいですが、実は原因が多岐にわたり医者泣かせの症状でもあるのです。

▽やまなか・みつしげ 1976年、三重県松阪市生まれ。慶応義塾大法学部卒業後、群馬大医学部医学科入学。卒業後はケニアのHIV罹患率40%を超える地域において巡回医療とHIV孤児支援のプロジェクトを立ち上げる。国内では三重県四日市市、東京都江戸川区で在宅医として勤務した後、在宅医療・訪問看護をしてきたメンバーと2018年に「しろひげ在宅診療所」を開設。院長を務める。また、さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」でも解説します。

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