時間栄養学と旬の食材

ワカメは夜がおすすめ 塩分やコレステロールを排出する働きが

茎ワカメ
茎ワカメ

 日本人によく食べられているワカメは、縄文時代の遺跡からも見つかっています。古事記や日本書紀に記載されるように古くから食用とされ、漢字では「若布」と書くことも。ワカメに含まれる栄養素が若返りの妙薬とされていたことが由来といわれています。

 そんなワカメは、加工方法や部位によって呼び方やエネルギーが異なります。今の季節は新ワカメが出回り、湯通しされた「生ワカメ」(100グラム16キロカロリー)、湯通し後に塩蔵した「塩ワカメ」(同11キロカロリー)があります。塩ワカメを塩抜きして乾燥した「乾燥ワカメ」(同117キロカロリー)は一年中あります。乾燥ワカメは水で戻す前の状態でのエネルギーなので、戻した後のエネルギーは12分の1になります。かなり低エネルギーです。

「メカブ」や「茎ワカメ」も部位が違うだけでワカメです。他にもさまざまな栄養素が含まれています。

 まず、タンパク質の合成、エネルギー代謝、発育に欠かせない甲状腺ホルモンを構成する役割を持つ「ヨウ素」。ヨウ素が不足する、もしくは閉経後の女性の過剰摂取は甲状腺ホルモンの異常を引き起こすこともわかっています。取り過ぎ、取らなさ過ぎ、双方を考慮するためにも、厚労省で定められている「1日約7グラムの乾燥ワカメ」を摂取の目安にするといいでしょう。

 次に高血圧の原因となるナトリウムとくっついて排出を促し、血圧を安定させてくれる「アルギン酸」。水に溶けやすい食物繊維のひとつで、余分なコレステロールを吸着して排出する働きも!

 そして、免疫細胞を活性化させたり、胃の調子を整えたり、アレルギーの緩和作用や生活習慣病の予防効果が報告されている食物繊維「フコイダン」。アルギン酸やフコイダンなどはワカメのねばりやヌルヌルの正体です。ぬめりは取らずに食べるのがいいでしょう。

 また、骨や歯の構成成分となり、骨粗しょう症の予防にも役立つ「カルシウム」も豊富。ビタミンDには、カルシウムの吸収を効率良くする働きがありますので、キノコや魚などと合わせる献立がいいですね。

 食べる時間としては塩分を排出してくれる働きや食物繊維の観点から夜がおすすめです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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