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上肢マヒのロボット型リハビリ装置「ReoGo-J」はどこが凄いのか

上肢用ロボット型運動訓練装置「ReoGo-J」/
上肢用ロボット型運動訓練装置「ReoGo-J」/(了德寺大学・松元秀次教授提供)

 脳卒中による片マヒでは、上肢と下肢がリハビリテーション(以下リハビリ)の対象となる。しかし、脳の中では細かい動作をする手の領域が圧倒的に多いので、その分、下肢よりも上肢の方がマヒが強く出て、マヒが残りやすい。それだけ効果的なリハビリ手段が求められ、さまざまな上肢用の運動訓練装置が開発されている。

 国内で最も利用されているのは、コンピューター技術とロボット工学を応用した「ReoGo-J」という上肢用ロボット型運動訓練装置。海外で開発された機器を帝人ファーマがライセンスを受け、日本人向けに改良したものだ。どのように使うのか。リハビリ専門医で医療用ロボットに詳しい了徳寺大学・健康科学部医学教育センター(千葉県浦安市)の松元秀次教授が言う。

「ReoGo-Jは、椅子に座り、機器本体から上に伸びているアームの上にマヒしている上肢をのせます。そしてモニターに表示される目標点に向けてアームを軌道に沿って動かすことでマヒの改善、関節可動域の拡大などを図るリハビリロボットです。放射状や円状など軌道の異なる17種類の訓練メニューと介助度の異なる5種類のアシストモードが設定できます」

 上肢の関節は、肩、肘、手首、手指とあるが、リハビリを行うことで体に近い方(肩や肘)から回復していくという。ReoGo-Jは、主に肩や肘の関節の動きを改善させる運動訓練装置になる。国内の多施設ランダム化比較試験の結果、療法士による訓練とReoGo-Jを併用した群では、療法士による訓練と自主訓練の併用群に対し、運動機能の指標が有意に改善したことが報告されている。

 産業用ロボット製造の大手メーカー・安川電機も「CoCoroe AR2」という上肢用リハビリ装置を開発している。

「このリハビリ装置の場合、手装具を装着し、上からワイヤで吊ってアシストした状態で訓練を行います。そして、訓練の動作で使う筋肉に適切なタイミングで電気刺激と振動刺激を与えて、目的とした運動をサポートする機能があるところが大きな特徴です」

 設定できる訓練動作は6種類ある。たとえば、遠くにある物に手を伸ばす動作、机の上の物を口元へ持ってくる動作など。握り・離しの動作を行う手指のリハビリを含めた上肢の反復訓練を行うことができる。

 上肢マヒのリハビリでは、自主訓練にリハビリ装置を活用することで効果が期待できるという。

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