新型コロナワクチンはすでに1度罹患した人でも接種できる？

1度目の接種を終えた人も増えてきた（Ｃ）共同通信社

　全国の多くの自治体で６４歳以下の接種券配布が始まっている。大型接種会場や職域接種、自治体会場などで１度目のワクチン接種を終えた人もいるだろう。

【Ｑ】新型コロナウイルスのワクチンはすでに１度罹患した人でも接種することができる。ただしフランスの保健当局は、回復から３～６カ月以内に１回だけにとどめるべきだとの見解を示している。接種はしなければならないのか？

【Ａ】「新型コロナウイルスは１度感染すると抗体ができますが、再度感染する可能性もあります。その対策としてワクチンを接種すると、スパイクタンパクに対する血中の抗体値と中和抗体値が感染歴のない人に比べて高くなることが報告されています。そのため接種は１回でも十分効果が認められると考えますが、詳細な検証データは出ていません。感染してから数カ月間は再感染のリスクが低いため、接種する場合は半年以内をめどに考えればいいでしょう」
　厚労省はＨＰで、〈全身性の副反応や、接種部位の痛みといった局所の副反応が、感染歴のない方と比べると高い割合で発現するといった報告もあります〉とのアナウンスも行っている。

【Ｑ】職域接種の申請が相次いだことで、モデルナ製も供給不足となり、受け付けが停止される事態となっている。１回目の接種後に予約を取れなかったり副反応を気にしている間に２回目を逃した場合次の接種をまた１回目として打つ必要があるのか？

【Ａ】「最初の接種から２～３カ月であれば、１回目から打ち直す必要はありません。ワクチンは１回接種すると初回免疫（プライミング）が得られます。これは免疫を活発にするための予備刺激と呼ばれるもので、ファイザーの場合は接種３週間後（モデルナは２８日）に追加免疫（ブースター）をすることで、体内の免疫記憶を活性化させてウイルス予防効果を増強させます。１回でも７割前後以上の予防効果があるとされますが、強固な免疫を獲得するには２回必要です。接種間隔は国によってもさまざまですし、かかりつけ医などに相談し、３カ月くらいなら２回目として予約してもいいでしょう」

【Ｑ】職域接種や近所付き合いの中で、ワクチンの話題も増えてきた。やはり打つべきなのか

【Ａ】「昨年１２月に成立した改正予防接種法によって、新型コロナウイルスのワクチン接種は努力義務になりました。任意なので強制力はないですが、受けるか、受けないかを考えるときに患者さんに伝えているのは、メリットとデメリットのバランスです。接種するメリットは、自らの発症（重症化）を防ぎ、周囲への感染を広げる心配がなくなる可能性が高いこと。デメリットはまれに深刻な副反応が起きる可能性を否定できないことです。これは一人一人違って、アナフィラキシー症状が出たことがある人はデメリットの方が高くなりますが、基礎疾患のある人は発症した場合の重症化などを防げるので、メリットの方が高いです。また『副反応が恐ろしい』というイメージだけで避けるのは危険です。ワクチンは『周囲の人がやっているから』と何となく受けるのではなく、自分の体調に向き合って、正しい理解をした上で接種する方が増えてほしいです」