新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識

職域接種ワクチン 現役自衛官の6割以上が2回目に38度超の発熱

モデルナ社製ワクチンは5000万回分追加契約となった
モデルナ社製ワクチンは5000万回分追加契約となった(C)共同通信社

 26日からワクチンパスポートの申請受け付けが始まった。海外渡航先によってはワクチンパスポートを持っていれば陰性証明や隔離期間などで優遇措置が受けられる。まずは「イタリア、オーストリア、トルコ、ポーランド、ブルガリア」に適用され、今後、対象国はさらに拡大する見通しだという。一方、供給不足から一時ストップしていた、新型コロナワクチンの職域接種もお盆過ぎには再開するという。

 いよいよ現役世代もワクチン接種を希望するか否かの決断を迫られることになるのだが、気になるのは今後多くの人が職域接種で打つであろうモデルナ社製ワクチンの副反応だ。

 有効性についてはファイザー社製と同等とされ、それは国内外でのデータで明らかだ。重症化を防ぐという点ではワクチン接種が現時点での最も強力な予防策であることは間違いない。

 ただし、それが最善策かどうかは別問題。ワクチンを打つか打たないかの決断はそれだけでは決められない。その副反応も冷静に見る必要がある。

 海外データではモデルナ社製はファイザー社製に比べ副反応が強く出がちなことがわかっている。国内データではどうか。

 21日に厚労省が開催した、専門家による新型コロナワクチンの副反応を検討する合同会議にモデルナ社製の副反応についての資料が提出されている。7月19日までにモデルナ社製のワクチンを打って登録した1万2253人の途中解析で、対象者の95.63%は事務以外の自衛官。男女比は95.3%が男性で、既往歴なしが94.9%と極めて健康な人たちのデータだ。

 このうちモデルナ社製ワクチンを1回打ちデータがそろった5178人を分析したところ37.5度以上の「発熱」があった人は接種日、翌日、翌々日合わせても10%に満たなかった。ところが、2回目接種を済ませた3772人中データが集まった980人を調べたところ翌日は7割、翌々日でも2割を超える人に発熱があり、通期ではその割合が8割近くとなっていた。しかも、その半数以上は38度を超える発熱だった。「倦怠感」「頭痛」も同様で、とくに2回目の接種翌日の倦怠感は8割を超えて9割近く、頭痛は6割の人が感じたという。いずれも中等度・高度が半数近くを占めた。

 ファイザー社製ワクチンと比べるとどうか。ファイザー社製は1回目、2回目接種で37.5度以上の発熱があった人の割合がそれぞれ、3.3%と38.1%に対してモデルナ社製は6.7%と78.0%。38度以上となると、ファイザー社製がそれぞれ0.9%と21.3%に対してモデルナ社製は2.1%と61.8%。どちらも明らかに高かった。倦怠感はファイザー社製の1回目、2回目が23.2%、68.9%に対してモデルナ社製は27.5%、86.1%とこちらも症状が強く出る傾向にあった。

 ワクチン接種による有害事象は女性に出やすく、痛みは年齢が上がるほど出やすいが、その他の有害事象は年齢と共にその発現の割合が低下することが明らかになった。

 既に新型コロナウイルスに感染している人は1回目から発熱や倦怠感などの症状が出やすいこともわかった。

 また、ファイザー社製よりも頻度が高いものとして「モデルナアーム」と呼ばれる遅発性の皮膚疾患が接種から数日から1週間して発症することが報告されている。接種部位や周囲のかゆみ、熱感を伴う赤み、腫れ以外に、接種部位のしこり、水膨れなど症状もさまざまだが多くは数日でおさまるので心配ない。

 これらを踏まえ職域接種を希望する人はあらかじめ解熱剤や鎮痛剤、かゆみ止めの軟膏やステロイド軟膏などを用意し、翌々日まで休みを取れる態勢で接種に臨むつもりでいた方がいいだろう。

関連記事