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デルタ株で子供のコロナ感染急増 アメリカで“マスク戦争”再び

子供の感染対策はマスクしかない
子供の感染対策はマスクしかない(C)PIXTA

 デルタ株の流行で、これまでと大きく違うのは子供たちへの感染の急増です。

 14日現在、アメリカでは子供の入院者数は過去最大の1900人超。新学期が始まっている地域ではクラスターが生まれ、授業をリモートに切り替えるところも出ています。

 アメリカでは11歳以下の子供へのワクチン接種はまだ認可されておらず、感染対策はマスクしかありません。ところが共和党が優勢な南部の州ではマスク着用に反対する声が根強く、賛成派と反対派の親たちが衝突を続けています。

 フロリダ、テキサス、アリゾナの3州では学校でのマスク義務付けを禁止する法律が成立。しかし一部の学区では法律に違反し、マスクを義務付けています。これを受けたデサントス・フロリダ州知事はマスクを義務付ける学区に対し、教員の給与のカットも辞さないとする強い姿勢を打ち出しました。それでも子供たちの安全には代えられないと、教員たちが無給覚悟でマスク義務付けを決めた学区もあります。バイデン政権はこうした学区に対し、給与の肩代わりをすると発表しました。

 また、20代から40代の感染者数も記録を更新しています。地域によっては入院患者の7割以上、死者の9割以上がワクチン未接種と報告され、スローダウンしていたワクチン接種のスピードが上がっています。

 子供たちを守るもうひとつの方法として、全米最大の教職員組合は教員へのワクチン義務付けを支持する姿勢を打ち出しています。しかし、バイデン政権のコロナ対策の成功をなんとしても阻みたい極右の政治家やメディアはいまだにワクチン懐疑論を振りかざし、マスクはもちろんワクチン義務付けにも断固反対。アメリカのコロナとの戦いは出口が見えなくなっている状況です。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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