科学が証明!ストレス解消法

ミーティングのお供にお菓子を 創造的パフォーマンスが向上

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 長引くコロナ禍によって、新しい生活様式が至るところで定着しています。リモートワークの浸透で時間や場所を選ばずにミーティングが行えるなど、ニューノーマルなビジネスパーソンも増えています。

 以前であれば、会議中や仕事中にお菓子を食べるといったことは、よほど風通しの良い企業、あるいは小規模の企業でない限りありえなかった光景でしょう。しかし、固定観念が変わりつつあるウィズコロナでは、むしろ積極的にミーティングにお菓子を取り入れた方がいいかもしれません。

 福島大学の研究(2017年)によると、「お菓子が集団による創造的パフォーマンスを向上させる」ことが明らかになっています。「仕事中にスナック菓子を食べるとは何事だ!」とやみくもに怒るのではなく、むしろプラスの側面について知っておいて損はないと思います。

 実験は143人の看護職を対象に、話し合い中に飲食行動をOKとする「飲食あり条件」と、お菓子や飲み物を提供しない「飲食なし条件」の2つの条件を設けて行いました。

 すると、前者のほうが結果が良かったというのです。飲食をしながら話し合いをしたグループは、「実用的なアイデアが生まれた」「作業が楽しかった」「考えついたアイデアに満足している」といった意見が寄せられ、飲食なしのグループよりもパフォーマンスが向上していることが示されたのです。

 また、一人でお菓子を食べながら作業をする場合も効果があると判明し、アイデアの数や量も増えると報告されています。ですが、集団の方がより顕著ということなので、アイデアを求められるようなミーティングにおいては、あらかじめそういった環境をつくっておくといいかもしれません。

 それにしてもなぜ向上するのでしょうか? 理由としてはまず、お菓子によって感情がよりポジティブになり、創造的なアイデアを導きやすくなるから。次に、お菓子や飲み物に含まれるブドウ糖などの糖質が創造性とリンクする認知機能を活性化する可能性があるから。仕事の合間にチョコなどを食べると、気分転換につながるのには、理由があるのです。

 興味深いところでは、陸上自衛隊の会議室には常にお菓子が山盛りになっているといわれています。いつ何が起こるか分からない有事に備え、カロリー補給として、お菓子が欠かせないそうです。

 張りつめて仕事に精を出すよりも、適度にお菓子を食べて、頭を柔らかくさせるほうが◎。ただし、仕事中にお菓子ばかりを食べていると、当然健康にはよくありません。「用法用量を守る」ではないですが、効果的に取り入れるようにしましょう。

 コロナはある意味では、固定観念を刷新するチャンスでもあります。今までの常識が、時代遅れになったり、非常識になったりします。

 過剰に負荷がかかるようなミーティングや仕事環境は避け、お菓子を取り入れるなど余裕を生み出す環境づくりの視点を忘れずに。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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