台風シーズンの雨漏りカビが喘息・鼻炎・副鼻腔炎を悪化させる

台風の時期は雨漏りカビに注意
台風の時期は雨漏りカビに注意(C)日刊ゲンダイ

 昨年、台風が最も多かったのが10月。この時期に起こりやすいのが雨漏りだ。それによって発生したカビは、放置すると体に悪影響を与える。

 外装リフォーム専門会社「ヤネカベ」の関口亮さんによれば、雨漏りの相談は通年あるが、特に増えるのが、台風シーズンだという。

「多い時は一日中電話が鳴りっぱなしで、相談数が60~70件という日もあります」(関口さん)

 関口さんは雨漏り診断士(民間資格)を有し、これまで2000件以上の雨漏りを診断。台風時に雨漏りの相談が増えるのは、雨水が外壁から漏れていても、防水シートのおかげで普段は雨漏りという目に見える形で現れにくいから。しかし台風による大雨で“許容量”を超えると、雨漏りが起こってしまう。

「雨漏りの量が少ないから平気だろうと考えていたら大間違いです。雨漏りがある場合、雨水がすでに家の内部を伝わっている。この状態が長く続くと、家の柱や梁が腐るばかりか、カビの繁殖につながりかねないのです」(関口さん)

 カビで懸念されるのが、体への悪影響だ。複数の企業の産業医を務める「リバランス」代表の池井佑丞医師が言う。

「カビが引き起こす疾患として、まずは感染症が挙げられます。肺アスペルギルス症や肺クリプトコックス症などが知られますが、ただ、カビの感染症は免疫力が著しく低下した人に見られ、健康な人で発症することはまれ。一方、注意すべきはアレルギー疾患。カビは、アレルギー性鼻炎や喘息、蕁麻疹といったアレルギー疾患を悪化させる原因になるのです」

 私たちの体には、異物が侵入してきた時、それらに対抗する「免疫」という仕組みが備わっている。

 ところが、この免疫の仕組みが体に害を与えない物にも過剰に反応し、攻撃をしてしまうことがある。これがアレルギーで、その原因物質をアレルゲンという。

■カビ掃除には必ずマスクを着用する

 カビは、花粉、ホコリ、ダニなどと並ぶ代表的なアレルゲンのひとつ。例えば、一般的な生活環境のどこでも繁殖するコウジカビは重症喘息の原因となる。雷雨の後に増加する傾向にあるクロカビは、若年の成人喘息の患者でクロカビにアレルギーを持っている場合、重症例が多いことが報告されている。高い湿度を好むススカビは喘息や鼻炎の原因となり、アレルギー性の副鼻腔炎も起こしやすい。

「ダニやホコリに気をつけている人は多いですが、カビは見落としがち。アレルギー性疾患がある人、特に雨の多い時期にひどくなるといった人は、カビとの関連も疑った方がいいでしょう」(池井さん)

 カビが好むのは、気温20~30度、湿度70~80%の環境だ。現在の住環境は気密性が高く、暖房器具も用いるので、冬でもカビにとっては好環境。コロナ対策で加湿剤を用いていると、よりカビは季節を問わず繁殖しやすくなる。

「カビ対策の基本は、換気で室内の風通しを良くし、除湿剤で湿気がたまらないようにすること。浴室や洗面所などはもちろん、家具の裏、クローゼットや押し入れ、エアコンはカビが繁殖しやすい」(池井さん)

 意外なカビの繁殖場所としては、靴の中。夏の間、ブーツをクローゼットの中に収納しておいた人もいるだろうが、「出してみたらカビがぎっしり」ということは、珍しくない。

「カビが繁殖している場合、その掃除にも気をつけてください。拭き取ったり消毒液を吹きかけた際にカビが舞い上がり、空気中に漂ってしまう。それを吸い込んで、アレルギー疾患を悪化させてしまうかもしれません」(池井さん)

 必ずマスクをつけて対処するべきだ。

■雨漏りが起こる場所

「雨漏りが起こる場所は、私の経験値だと、外壁から9割、屋根から1割。雨漏りに気付いていない人もいますが、そういう場合は、ベランダの笠木の付け根やサッシ下に隙間がないかなど、それ以外でも施主自身が気付けることがよくある」(「ヤネカベ」の関口亮さん)

 とりあえずチェックだ。

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