新型コロナワクチンの疑問に答える

3回目の接種はワクチンのメーカーを替えたい…選び方の基準は?

英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける人
英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける人(代表撮影)

 医療従事者から順に12月から3回目の接種が始まる。この「ブースター接種」は2回目までと異なるワクチン接種が認められるという。もっとも現時点では、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の3択。「交差接種」の方が高い免疫効果が得られるという発表もあるが、実際は?

【Q】2回目の副反応が重くてワクチンのメーカーを替えたい場合、選び方の基準は?

【A】「現状では免疫効果と副反応を考慮するとmRNAワクチンがベストです。副反応が特になかったのであれば、これまでの2回でモデルナを接種した人はファイザーに替えるのもいいでしょう。もっとも、モデルナでもファイザーでも、3回目は作製方法が異なるアストラゼネカ製のワクチンに替える方が、免疫反応はさらに高くなると考えられます。

 アストラゼネカ社のワクチンは原則40歳以上に限定しているので、40代以降なら検討できます。ただし、副反応は強いといわれるので、かかりつけ医などに相談してください。事前にアセトアミノフェン系の薬や抗ヒスタミン剤を処方してもらうといいでしょう。

 逆にアストラゼネカ社のワクチンを2回打った人なら、ファイザー製のものを3回目として使うのも、免疫反応が上がると思います」

 もちろん無理に別のワクチンを考える必要はなく、同じワクチンを接種しても問題はない。

【Q】政府は経済対策の一環とし、国産ワクチンの開発強化として5000億円の関連予算を計上した。新型コロナワクチンの開発では出遅れたが、予算規模は世界から見て妥当なのか?

【A】「これまでは年間150億円ぐらいの規模だったので、この機会に開発に力を入れてほしいですね。今回は全国の感染施設などの充実も含めて予算を分配すると思いますが、今後、新型コロナウイルスのような感染症が流行したときにワクチン開発に後れを取らないためには、予算の比重を考えなければなりません。現在開発中のDNAワクチンやタンパクワクチンなどに対する予算は減額し、デルタ株を加えた多価ワクチン、世界でも最先端の研究が進んでいる新世代の自己増殖型mRNAワクチンやVLPワクチンなどの基礎的研究に費やすべきだと思います。今後数年間、このような規模で予算を組んでいければ、日本もワクチン開発に出遅れることはなくなるでしょう」

 ワクチン開発・供給計画の「オペレーション・ワープ・スピード」に2兆円(180億ドル)規模の予算をつけている米国や欧州に比べると低予算だが、開発力を高めるチャンスである。

◆10月28日に連載が単行本になりました。3回目の接種や子どもたちの接種など、まだまだ知りたい情報をQ&A形式で答えます。



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(発行:日刊現代 発売:講談社)

奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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