東洋医学を正しく知って不調改善

漢方薬と西洋医学の薬との違いはなにか 副作用は出にくい?

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 みなさんは漢方薬にどのようなイメージをお持ちでしょうか? 木の根や希少な動物の内臓を煎じたもの、といった印象をお持ちの方もいるかもしれません。

 実際のところ漢方薬のほとんどは、天然の植物、動物、鉱物(石膏など)といった原材料から作られています。これらの一部を加工した「生薬」を2種類以上合わせたものが「漢方薬」で、それぞれの生薬が絡み合い、相互に協調的に効果を発揮するように処方されています。それはまるで、さまざまな香辛料を組み合わせて自分好みのカレーを作るのに似ているかもしれません。

 たとえば最近、比較的知られるようになった、花粉症に処方される小青竜湯という漢方薬は8種の生薬でできています。

 ですがそれらの薬効は実験的に解明されたものではなく、長い臨床経験のもとで実践し代々伝わってきたものがほとんどで、現在の科学分析によってもなお、その薬効作用のメカニズムを明確に解明することが難しいのです。

王瑞霞氏
王瑞霞氏(提供写真)

 それに比べ西洋医学の薬は、大部分は実験的に研究され、そのほとんどは化学合成された単一成分でできています。そのため細菌を殺す抗生物質、胃酸を抑える制酸剤といったように、診断のはっきりした疾患や緊急処置の必要な疾患などへの作用が得意となっています。

 一方、漢方薬は、虚弱体質に伴う疾患や症状、免疫異常疾患、心身症、不定愁訴、神経症など、検査の数値にはっきり異常が出なくても、自覚症状を伴う機能的異常の改善を緩やかに行うことが得意といえます。

 そのため副作用については全くないわけではありませんが、その頻度や度合いは西洋医学の薬に比べ低いといえるでしょう。

 このように病気に作用する西洋医学の薬に対して、病人の個人差を含めて病気に作用するのが漢方薬なのです。

王瑞霞

王瑞霞

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

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