科学が証明!ストレス解消法

自分用マジックフレーズを用意して“やる気”を生み出す

やる気が出ない…
やる気が出ない…(C)日刊ゲンダイ

 なかなかやる気にならない、あと一歩が踏み出せない--。結局、ダラダラしてしまって、思うように物事が進まない。そういう方は少なくないと思います。

 興味深いもので、「やる気が出ない」「面倒だ」などと口に出したり考えたりすると、「自己成就予言」といって、意識的あるいは無意識にその通りに物事が進んでしまうことが研究で明らかになっています。つまり、「やる気になれない」と口にすると、後回しになりがちになるのです。

 私の座右の銘のひとつに、「あとでやろうはバカヤロウ」という言葉があります。今やらなければずるずると先延ばしになり、結局やらないまま。ですから、一にも二にも動き出す。これが肝心なのです。

 こう説明すると、「それができないから困っている」と反論される方が多いのですが、ちょっと思い出してほしいんですね。作業を始めるにしても、家事を始めるにしても、「面倒くさいなぁ」などと思って、スマホを操作したり、テレビや動画を見ていたりしないでしょうか? 

 私の場合は、そう思う前に「あとでやろうはバカヤロウ」と思うようにしています。良い方向に導くための“自分だけのマジックフレーズ”を用意し、意識のチャンネルを自動的に切り替えるようにしているのです。

 たとえば、「面倒くさい」と思う代わりに、「きちんと作業を進めたらご褒美でビール1杯」「終わったらドラマを1話見る」というように、自分のモチベーションをアップさせるようなマジックフレーズを掲げ、動き出すきっかけをつくるのです。

 面白いもので、人間はとにかく始めてしまえば、「側坐核(そくざかく)」と呼ばれる脳のやる気のスイッチがオンになります。掃除などは最たる例で、やり始めてしばらく経つと、「ここまでキレイにするつもりはなかったのに!」という状況があると思います。動き出しさえすれば、「やる気が出ない」はずだった脳は、勝手にどんどん回り始めてくれるのです。

 そのためには、まず始める。そして、始める気になれる自分だけのマジックフレーズを用意する。これがポイントです。

 また、脳は慣れてしまうと刺激を受けづらくなる「馴化(じゅんか)」という状況に陥る点も覚えておくと◎。最初はどれだけ刺激的なマジックフレーズでも、繰り返すうちに慣れてしまい、いわゆるマンネリ化のようになってしまいます。

 ときめきを呼び覚ますには、「報酬系」と呼ばれる脳の回路が働き、ドーパミンを分泌させることがカギとなります。自分で自分の脳に快感を与え、喜ばせ続ける、達成感を与え続ける。これができれば、馴化に対抗できる。これもやる気を促す上で、効果的な対策術といえます。

 たとえば、メール返信は3ポイント、資料作成は5ポイントという具合に、やることを数値化して加算していくと、1週間で自分がどれくらい仕事をしたのか確認できます。積み重ねを視認化すると、「次の週は1ポイントでも上回ろう!」と報酬系が働き、馴化の状況に陥りづらくなる。これもまたやる気対策として覚えておいてください。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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