今シーズンのスギ・ヒノキ花粉の飛散量は、昨シーズンと比べて多いと予想されている。基本的な花粉症対策に加え、コロナ禍だからこそ実践すべきことは? 日本医科大学大学院医学研究科頭頚部感覚器科学分野教授で、NPO「花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会」理事長も務める大久保公裕医師に聞いた。
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「今流行しているオミクロン株は、昨年のコロナよりも花粉症の症状との類似点が多い。花粉症だと思っていたら実はコロナで、周囲に感染させていたというケースも起こり得る。一層気を引き締めて、花粉症、コロナ双方の対策に努めなければなりません」
押さえておきたいのは次の点だ。
【発熱があればコロナを疑う】
英国のデータでは、オミクロン株感染者の60%にくしゃみ、73%に鼻水が見られたという。
花粉症とコロナを併発している可能性もあるので、くしゃみ、鼻水などがあればコロナの有無を調べるのが理想だが、現状を鑑みると到底無理だ。
「オミクロン株では発熱も多く報告されており、これは花粉症ではほとんど見られません。花粉症のような症状があり、発熱もあるという場合は、微熱でもコロナかどうかを調べてください」
なかなか検査を受けられない場合、コロナを念頭に置き、外出は控え、同居家族がいるなら住居スペースを分けるなど徹底した感染対策を。
【花粉症の治療を早めにスタートする】
花粉症がある人は、コロナに感染しやすく、周囲に感染させやすい。
「鼻や目を触ると接触感染のリスクがある。はなをかんだティッシュを、ゴミ出しのときなどに家族が触れたりしてウイルスに感染することもある。くしゃみは咳以上に飛沫を飛ばすので、ウイルスをまき散らすことになりかねません」
しっかりとした花粉症治療を症状が出ないうち、または軽症のうちに受けておくべきだ。
【子供の手指の消毒は念入りに】
「子供は花粉症のかゆみが強い上に、大人よりも自制が利きづらく、かゆいと目をひんぱんにこすりがち。子供のオミクロン株も流行していますし、子供から大人に感染するリスクもある。わが子に花粉症があるようなら、たとえ目を触っても大丈夫なように、手指の洗い、消毒を親が意識して行うべきです」
もちろん子供も早めの花粉症治療が不可欠だ。
換気の仕方にも注意点
【布マスクはNG】
前述の通り、くしゃみは咳よりも強力にウイルスをまき散らすので布マスクでは防ぎきれない。
「そもそもコロナ対策で布マスクは推奨していません。花粉症の人は不織布マスクを2枚重ねにしてもいいくらいです」
【換気の際はカーテンや網戸を閉める】
コロナ対策には換気が必要だが、換気をすると花粉が入ってくる……。
「カーテンや網戸を閉めて換気をし、その上で部屋の隅にたまった花粉をこまめに掃除するようにしてください」
【だてメガネをかける】
花粉やコロナウイルスが目に入るのを防ぐのに加え、手で目を直接触るのも避けられる。
【玄関で花粉を払わない】
「玄関で髪や洋服をパンパンと叩いて花粉を払うと、髪などに付着したウイルスが飛ぶリスクもあります。花粉が付着しにくいスプレーが販売されているので、それを活用する。帰宅したら、玄関からそのまま風呂場に直行して花粉を落とすこともお勧めします」
【マイティッシュを持ち歩く】
「コロナの感染の心配のある間は、ティッシュは自分だけのものを持ち歩いた方がいい。自宅以外で、だれもが使えるように置いてあるティッシュは飛沫が飛んでいるかもしれないので、念のためです」
次回は、花粉症の症状をしっかり抑えるために薬をどう選ぶべきかを紹介したい。