医者も知らない医学の新常識

「花粉症薬」と「胃薬」で運動効果が消失…ヒスタミンが関係

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 花粉症の時には鼻水を止める薬を使います。代表は「抗ヒスタミン剤」という、ヒスタミンという物質の働きを抑える薬。ヒスタミンは生体アミンと呼ばれる物質のひとつで、人間を目覚めた状態にする働きがあります。つまり大切な働きをしているのですが、その一方で鼻水やじんましんなどの原因にもなるので、それを抑えるために抗ヒスタミン剤を使うのです。

 花粉症の薬を飲むと眠くなるのはそのためです。他に胃酸を抑える胃薬の一部にも、ヒスタミンを抑える働きがあります。

 このヒスタミンは、実は運動とも大きな関係があります。運動をすると血流が良くなりますが、それはヒスタミンが増えるからなのです。

 今年の科学の専門誌に、ヒスタミンと運動についての最新の研究結果が報告されました。健康な人に、どちらもヒスタミンの働きを抑える作用を持つ抗ヒスタミン剤と胃薬を一緒に飲んで運動してもらったところ、薬を飲まない人と比較して、運動の血管や血流に与える良い影響が抑えられてしまっていたのです。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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