東洋医学を正しく知って不調改善

薬なしで花粉症の症状を抑えたい 自宅でできる方法は?

写真はイメージ
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 東洋医学では花粉症という病気を、その人の体質や体調の乱れ・悪化に伴う体の歪みによって引き起こされる病気としています。そのため、体質改善のための全体治療と、今の症状を緩和させる部分治療の2方向で対策を講じます。

 たとえば、鍼灸治療では何を行うか? まず全体治療では、その人の体質によりますが、おへその部分のツボ、神闕にお灸をします。おへそは小腸の真上にあり、もともとは母体から胎児への栄養や酸素の補給口でした。

 なのでこのツボは腸への影響も大きく、疲労回復にも効果があります。もし体が疲れていたり弱っていると感じた時は、カイロなどで温めることをお勧めします。

 そして次に部分治療ですが、こちらは小鼻のすぐ両脇の迎香と、その小鼻から指1本分外の巨りょう、そして両眉の中央点にある印堂というツボを、親指や人さし指で軽めに3秒間、3セットで押してみると症状が改善します。

 この場合、痛いより気持ち良い感覚、よく言われる“イタ気持ちいい”程度の強さの方が効果が出やすいです。

渡邊靖弘氏
渡邊靖弘氏(提供写真)

 これらの治療と並行して、花粉症になりにくい体質になることも重要です。そのため東洋医学では、症状別に合わせた食事も推奨しています。

 鼻水やくしゃみに加えて、むくみ、体のだるさがある場合は、水分代謝を促す豆類、はと麦を取り入れ、疲れていると感じたら、気を補う食事としてやはり豆類やイモ類、きのこ類に魚類(スズキ、タイなど)、さらには肉類も取り入れると良いでしょう。

 東洋医学ではアレルギー反応が出ることは悪いことではなく、異物を排除しようとする体の働きと考えます。ですからあまり症状について深刻に考え過ぎないことが大切です。

 神経質になればかえって心身のバランスが崩れることもあります。薬などで、にわかにその症状を止めようとするのではなく、時として気長に付き合いながら体質改善することも必要です。

渡邊靖弘

渡邊靖弘

日本医学柔整鍼灸専門学校専任教員、日本伝統鍼灸学会理事、和ら会会員、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師。

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