認知症対策「シナプソロジー®」自宅で楽しくできるエクササイズ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 スポーツクラブなどの運営を行う「ルネサンス」が、脳神経外科医である昭和大学名誉教授の藤本司医師のアドバイスに基づき2011年に開発した「シナプソロジー®」が、認知症対策に役立つと話題だ。コロナで活動を制限している人でも、自宅で簡単にできる。藤本医師に聞いた。

「『シナプソロジー®』は体を動かしつつ、五感への刺激や、動作の記憶や判断で生じる認知機能に関する刺激を、脳に与え続けられる運動です」

 シナプソロジー®にはいろいろなエクササイズがあるが、じゃんけんを使った方法を3つ紹介しよう。指示者と受け手の2人1組で行う。1人暮らしならオンラインを利用するといい。

【エクササイズ1】

 まず、指示者がグー、チョキ、パーと手で示し、受け手は後出しで同じじゃんけんを声にしながら出す。

 次に、グーを赤、チョキを青、パーを黄色と色に置き換え、指示者がグーを出したら、受け手は「赤」と色を声に出しながらグーを出す。

 さらに、指示者が出したじゃんけんに対し、受け手はそれに勝つじゃんけんを出し、色を声に出す。指示者がグーを出したら、「黄色」と言いながらパーを出す。

【エクササイズ2】

 指示者は「じゃんけんぽんぽん」と言いながら、左右の手で違うじゃんけんを出す。受け手は左右の手のうち、勝っている方を声にしながら手で出す。たとえば指示者が左手でグー、右手でチョキを出したら、受け手はグーと言う。これを何回か繰り返したら、今度は刺激を変え、負けているじゃんけんを声にしながら手で出す。さらに何回か繰り返したら、指示者は手で示さずに声だけで2つのじゃんけんを出し(例:グー、パーと順に言う)、受け手は勝っているじゃんけん(パー)を言いながら手で示す。

【エクササイズ3】

 グーは「頭を触る」、チョキは「肩を触る」、パーは「手を叩く」の3つの動作を覚える。指示者がじゃんけんを出し、受け手はそのじゃんけんに応じた3つの動作を後出しで声に出しながらする。例えば、指示者がグーを出したら、受け手は頭を触りながらグーと言う。慣れたら、指示者のじゃんけんに対し勝つものや負ける動作を声に出しながら行う。

「最初に示す『基本の動き』を覚えてから次に進みます。声を出しながらしっかり動いてやるのがポイント。正解を競い合うことが目的ではありません。脳への刺激が目的だと理解し、楽しみながら、マイペースで行ってください」

 全国の運動教室や健康教室、介護予防教室のほか、脳の活性化のために取り入れる企業やスポーツチームも増えている。航空会社ではミス軽減のために始業ブリーフィング時に行っており、2年目以上の係員のミスハンドリング件数が国際線で減少しているとのアンケート結果が出ている。

「適切な刺激を神経に与え続けると、神経伝達物質と結合する受容体や神経細胞のつなぎ目のシナプスが増え、神経線維が太くなり、また樹状突起も増えます。すると刺激が伝わりやすくなり、さらにその効果が残っていくという『神経の可塑性』が認められています。楽しみながら、意欲的に『シナプソロジー®』を継続して行うと、より高い効果が期待できます。脳は使わなければシナプスがどんどん減っていきますが、逆に使えば何歳からでも増やせる可塑性があるのです」

 今週末、親と一緒にやってはいかが。

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