病気を近づけない体のメンテナンス

脳<下>脳の血流をアップさせる「OK指体操」7種類の正しいやり方

指の動きは、広範囲の脳の領域が使われる

 脳の働きは40歳くらいをピークに徐々に衰えてくる。加齢や動脈硬化などにより脳の血流が悪くなることで、脳の神経細胞の活性が低くなったり、神経細胞自体が減少したりするからだ。その対策には、生活習慣の改善や運動、ストレスとの上手な付き合い方が重要になる。とりわけ「運動」は、どんなことをするといいのか。「OK指体操で認知症はよくなる」(マキノ出版)の著者で、埼玉成恵会病院健康管理センター(埼玉県東松山市)の竹内東太郎センター長(脳神経外科医)が言う。

「脳の血流を促進させる運動は、そんなに激しいものは必要ありません。むしろ、体に負担がなく、簡単で継続しやすいものの方がいいのです。そこで注目したのが『手足の指を動かす』ことです。手足の指の動きには、かなり広範囲の脳の領域が使われるからです。私は2010年に『OK指体操』という運動を考案しました。以来、認知症や脳の病気で来院される患者さんのみならず、特に病気のない方にも日課の運動として行うことを勧めています」

 OK指体操の「O」は「音楽」、「K」は「訓練・健康」の頭文字。手足の指を曲げたり伸ばしたり、開いたり閉じたり、歌に合わせてリズミカルに続ける運動だ。

 実際に「パーフュージョンCT」という脳の血流を調べる検査で、OK指体操を行う前後の血流量を比較すると、体操後には格段に増えていることが確認できるという。

 OK指体操は、椅子に座った状態で行う。手の指・腕の運動が4種類、足の指・足の運動が3種類、全7種類で構成されている。

 やり方はこうだ。

【手のOK指体操】

■手のニギニギ運動

①両手を胸の前に出し、手のひらを前方に向けて指を軽く開く②親指だけは伸ばしたまま、親指以外の4本の指を曲げたり伸ばしたりする。折り曲げた指をしっかり伸ばすのがポイント。

※曲げて伸ばすのを1回として、両手同時に8回繰り返す。

■手のパッパ運動

①両手を胸の前に出し、手のひらを前方に向けて指をそろえる②5本の指を閉じたり開いたりする。開くときは扇状にできるだけ大きく、閉じるときは指同士の側面がしっかりとつくようにする。

※閉じて開くのを1回として、両手同時に8回繰り返す。

■手のキラキラ運動

①両手を胸の前に出し、手のひらを前方に向けて指を軽く開く②肩と腕の力を抜き、手の甲を外側に向けて回転させ、そのまま反転させて元の位置に戻す(手の甲が内側になる)。

※回転させて戻すのを1回として、両手同時に8回繰り返す。

■グッパー運動

①両手をグーの形にして胸元に引きつける②手のひらを正面にパッと開きながら、腕を前方に突き出す。指を開くときは、折り曲げた指をしっかり伸ばす。

※突き出して戻すのを1回として、両手同時に4回繰り返す。

つま先が上を向くように(C)PIXTA
歌とともに1日2セット

【足のOK指体操】

■足のパッパ運動

①椅子に座り、かかとを床につけたまま両足のつま先を少し上げる②足指を曲げたり伸ばしたりする。広げるときは、扇状に指をしっかり伸ばす。

※閉じて開くのを1回として、両足同時に8回繰り返す。

■ひざ伸ばし運動

①椅子に座り、ひざを支点にして、片方の足を前方に伸ばす。このとき、つま先が上を向くようにする。足全体が床と水平に一直線になるまで上がると理想的②足を床に戻したら、同様に反対の足を前方に伸ばす。これを交互に行う。手は体を支えやすいように、後ろで組んでも、椅子の両脇に置いてもかまわない。

※左右行うのを1回として、交互に4回繰り返す。

■足踏み運動

①椅子に座り、片方の足の太ももを上げる。ヘソの高さまで上がると理想的②足を床に戻したら、同様に反対の足の太ももを上げる。手は体を支えやすいように、後ろで組んでも、椅子の両脇に置いてもかまわない。

※左右行うのを1回として、交互に8回繰り返す。

「以上、7種類の体操を1日2セット、自分の好きな歌に合わせて行います。私たちのリハビリでは、最近は童謡の『ふじの山』を使っています。『ふじの山』は2番まであるので、曲の1番で手のOK指体操、2番で足のOK指体操を行います。その後、もう一度同様に行います。所要時間は4~5分程度です」

 自分も声を出して歌いながら行えば、脳への刺激が一段と増すという。

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