科学が証明!ストレス解消法

自分をうまく動かすコツを知って怒りや不安に上手に対応しよう

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 1月下旬に、「科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全」という本を、東京メディカルクリニック平和台駅前院の木島豪院長と上梓しました。この共著は、脳のクセを利用した誰でもできるセルフコントロールで、毎日の「やりたいこと(やるべきこと)」をスッと終わらせられることを目的に書いています。

 自己管理がうまくいかないのは、あなたの意志が特別弱いわけでも、ガマンが足りないわけでもありません。「自分をうまく動かすちょっとしたコツ=セルフコントロール法」を知らないだけです。「どうして今日はだらけてしまったんだ」と自分を責めたりすることがあると思います。こんなときは、自分を責めるのではなく、物事を「自分ごと」として考えることが大切です。

 自分ごととして捉えられると、意識的に物事に取り組め、自分なりに考えることで思考が深まり、人間性を育む効果もあります。責めるだけでは“点”で終わってしまいますが、自分ごとにすることで“線”になり、気持ちが切り替わりやすくなるのです。

 また、「自分ごと」として捉えることは、共感能力の向上にもつながります。共感する力は、人間が自分を守ると同時に、他人と心を分かち合い、社会生活をうまく行っていくために獲得した尊い能力です。ただし、自分に全然関係ないことも自分ごととして考えてしまう人がいるので、そうならないように注意が必要です。

 たとえば、思考実験として、物事を自分のせいだと考えて「どうすれば解決できるだろう」と試行錯誤するのは自分の成長のためにも素晴らしい。しかし、自分は一切悪くないのに、自分を責め続けて精神的に調子を崩してしまったら、本末転倒ですよね。

 また、「自分が悪い」と思ってしまうのは、理想の高さが原因の可能性もあります。高い理想があるために、それとはギャップの大きい結果になってしまったとき、自責の念に駆られてしまいます。そのような場合にお勧めしたいのが、「セルフ・コンパッション」という方法です。

 セルフ・コンパッションは、もともと仏教における「自分をあるがまま受け入れる」という考えをベースにしていますが、今日ではさまざまな研究の臨床データを集めて、心理学的な見地から有用な方法論として発展させたものです。

 セルフ・コンパッションをごく簡単に説明すると、自分を責めている自分に対して、自分で「そんなに責めなくてもいいじゃないか」と言って受け入れてあげる方法です。

 実際、カリフォルニア大学バークリー校のツァンとチェンによって、セルフ・コンパッションを習慣化できると、ポジティブになり、人間的成長を促す効果があるということが実験(2016年)で示されています。

 セルフコントロール法を知れば、日常の怒りや不安なども上手に対応できるようになります。もしも車を運転していて事故に遭遇したとき、エアバッグがあるのとないのとでは大違いです。あなたのストレスを緩衝させる上で、セルフコントロールはとても大切ですよ。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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