進化する糖尿病治療法

「桜観察」を続けていたらいつの間にかジョギングが日課に

桜のシーズンは「散歩始め」にベスト
桜のシーズンは「散歩始め」にベスト(C)日刊ゲンダイ

 お花見シーズンです。今年は3月17日に、福岡で全国で最初となるソメイヨシノの開花が観測されました。日本気象株式会社の発表によると、全国的に平年より気温が高くなる予想となり、東日本、西日本では満開時期は平年並みか平年より早いとのこと(24日時点)。東京の満開予想日は本日(28日)、大阪や愛知が30日となっています。桜は、咲き始めも満開の時も、そして散る時も、見ていて飽きないですよね。一年の中で今しか味わえないこの楽しさ、存分に満喫してください。

「桜が好きで好きで。桜につられて散歩を始めたら、いつの間にか走るようになっていました」

 こう話すのは、東京都世田谷区にお住まいの40代女性。家の近くに桜並木があり、ある年の桜の季節、桜のつぼみが膨らみ始めているから、それを見ながら散歩でもしようかと、夫婦そろって歩きだしたのが最初。10年ほど前のことです。

 桜が少しずつ開いていくのを毎朝観察(&散歩)。桜が満開を迎え、完全に散ってしまい葉だけになるまで、「覚えていないけど、2~3週間は観察しながら歩いたかな」とその女性は言います。

 新緑は新緑で、葉の間から光が差し込んでくるのがまたきれいで、桜のシーズンが終わって以降も散歩を続行。真夏は、早起きすると空気がすがすがしくて気持ちいい。だから、散歩をさらに続行。冬になると、「まだ太陽が昇っておらず、外が暗いのでくじけそうになったけど、せっかくここまでやったのだから」と散歩を続け、冬を乗り越え、次の桜のシーズンを迎えました。

「天気が悪かったり、仕事が忙しい時などは散歩をお休みしていましたが、何はともあれ1年間続けられたのが自信になりました。しかも1年間やっていると、朝の散歩が生活の一部に組み込まれているので、早起きも苦痛じゃなくなりました。朝散歩のために、可能な限り早寝をするようになりましたし、毎晩飲んでいる大好きなお酒も、少しだけ控えられるようになりました」(女性)

 このタイミングで体組成計を購入。夫婦ともに体脂肪率が減少していたのが、うれしかったとのこと。散歩もいいけど、どうせならジョギングに挑戦しようと、専門店で店員さんのアドバイスのもとジョギングシューズを選び、ゆっくり走り始めました。

「桜を見ながらなので、“走るのが嫌だなぁ”と感じませんでした。走るスピードはものすごくゆっくりで、時々立ち止まって桜の写真を撮ったりする“ゆるジョギング”だったので、しんどさも感じなかった」

「花見兼ジョギング」を終えた後は、散歩の時と同様、「新緑を楽しみながらのジョギング」「夏の早朝の空気を味わいながらのジョギング」「冬の朝、暗いのはつらいけど、この習慣をもうちょっと続けようジョギング」となり、3年目の“朝活”に突入したのです。そして、そのまま10年。今も、夫婦で朝のジョギングを続けています。

 もともと夫婦ともに運動が嫌い。スポーツジムに入会しても、途中で幽霊会員になるのが常。しかし散歩やジョギングに関しては、「桜や新緑を楽しむ」という目的が先にあった。「だから、三日坊主にならなかったと思うんです」とのこと。

 今は在宅勤務なので、昼間に走る日もあるそうで、そんなときは「ニューオープンの店を探そう」「普段通っていない道を通ろう」「あの店が今どうなっているかチェックしよう」など、楽しみを見つけるようにしているそうです。

 この女性のようにジョギングまで行かなくても、桜のシーズンは、「散歩始め」にベストだと思いますよ。気候もいいですしね。

 ぜひみなさんも始められてはいかがでしょうか? 1人でなく誰か誘ってみれば、さらにいいでしょう。

 最後に、花見の宴会をする場合、念頭に置いてほしいことを……。空腹のまま花見弁当で主食を先に食べると、血糖値が急上昇してしまいます。野菜類を先に食べるベジファーストで!

 食べ過ぎ飲み過ぎには注意してほしいですが、そればかり考えていると花見を満喫できないですよね。前後の食事で調節してください。

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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