水虫治療は4月から始めたい 完全に治すための「4つのポイント」

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 水虫はありふれた病気だが、治療法を間違えている人も多い。きっちり治すために押さえておくべきポイントを埼玉医大総合医療センター皮膚科教授の福田知雄医師に聞いた。

 そもそも水虫はなぜきっちり治すべきなのか? 理由は主に5つ。まずは①「重症化を防ぐ」②「人にうつさない」。

「水虫は、白癬菌によって感染が成立します。家族の中に水虫の人がいると、家中に白癬菌がばらまかれます。それを素足で踏み、そのまま靴下をはくなどすると、12~24時間ほどで感染が成立するといわれています」

 家族の中の“水虫持ち”が在宅勤務となり、家にいる時間が長くなると、家族の水虫感染リスクは上昇。春、夏となり、素足で過ごす時間が増えればなおさらだ。

 理由の3つ目が③「負のスパイラルを断つ」。水虫は春・夏に白癬菌が増殖して症状がひどくなり、秋・冬で症状が鎮まる。しかし治ったわけではなく、白癬菌は皮膚に残っており、翌年の春・夏に増殖し、再発する。

「また、水虫を放置すると、白癬菌が爪の下に入り込んで爪水虫(爪白癬)を起こす。爪水虫は、爪が変色しもろくなる水虫で、一般的な水虫(足水虫)よりも治療が困難。そして足水虫をきっちり治しても、爪白癬が治っていなければ、足に白癬菌が存在するわけですから、足水虫も何度も再発するのです」 

 残り2つの理由が、④「骨折、寝たきり回避」と⑤「足の切断回避」。

「足にトラブルがあると、体のバランスを取りづらくなり転倒しやすくなる。高齢者では骨折、寝たきりにつながりかねない。さらに糖尿病の人は合併症による神経障害のため、水虫など足のちょっとした傷から壊疽に至り、切断になる可能性があります」

■爪まで感染すると治療は年単位

 きっちり治すためのポイントは次の通り。

【足水虫には足水虫の治療、爪水虫には爪水虫の治療】

 足の指、足の裏などに症状が出る足水虫と、爪水虫は治療が異なる。

「足水虫は塗り薬が主で、市販薬で治せるものも多い。一方、爪水虫には足水虫の塗り薬は効かず、爪水虫の薬は市販されていない。病院に行かないと治せません」

 爪水虫の薬には、爪表面から薬を浸透させる塗り薬と、服用して爪の病変部に薬の成分を到達させる飲み薬がある。

「爪水虫を塗り薬だけで治療すると、1年間毎日塗り続けての完治率は15%ほどなのに対し、最新の飲み薬では4倍高い治療効果が期待できる」

 ただ、飲み薬に抵抗を示す患者もいるため、爪水虫の治療に積極的でない医師では、あまり説明もなく塗り薬を処方することも。爪水虫と診断されたら、塗り薬、飲み薬のそれぞれのメリット、デメリットを確認した方がいい。なお、飲み薬の副作用を心配する人もいるが、大多数の患者は、爪水虫の飲み薬を年単位で飲んでも問題ない。

【足水虫では症状がない部分にも薬を塗る】

 症状がない部分にも、白癬菌は潜んでいる。

「足の指、足の指の間、足の裏全体と、くまなく薬を塗ってください」

 足水虫は市販薬でもOKと前述したが、その場合、処方薬と同じ成分が入っているスイッチOTC薬を選ぶ。足全体に塗るので、薬は結構な量を使う。金銭的には、処方薬の方が安くつく。

【症状が軽快しても薬を塗るのをやめない】

「足水虫で十分量の薬を、十分な範囲に毎日塗れば、2週間ほどで症状は軽快します。しかし白癬菌を完全になくすために、症状軽快後も1~2カ月間は毎日塗り続ける必要があります」

【爪水虫では治療が長期戦になることを覚悟】

 爪水虫は1~2年かそれ以上と、完治に要する期間は年単位だ。

「新しい爪に生え変わるまで薬を使い、経過観察をしなければならないため、どうしても長期戦になってしまうのです。途中で治療をやめると、それまでやってきたことが無になってしまいます。治療の意味をしっかり説明してくれる医師のもと、治療を開始することをお勧めします」

 水虫をきっちり治す第一歩を踏み出そう。

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