科学が証明!ストレス解消法

好きな人とは横並びで同じ行動を 対面よりも親近感アップ

写真はイメージ
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 感情というのはとても大切です。何を当たり前のことを──と思われるかもしれませんが、「優勝してうれしい!」と「足をぶつけて痛い!」という顔写真だけを比べると、実は同じ表情をしていたりします。

 喜びの表情と苦痛の表情は最終的に変わらないといわれ、気持ちを相手に伝えるには、全身で表現することが大切なんですね。

 人間には共感力の神経とでも形容すべきミラーニューロンという神経細胞があるといわれています。事故の映像などを見て、こちらまで「痛い!」と感じてしまう現象も、ミラーニューロンによるもの。一緒に楽しんだり、落ち込んだりするのも同様だと考えられています。

 たとえば、恋愛に悩んでいるなら、ミラーニューロンの効果を利用してみるのもひとつの手でしょう。同じ行動によって親近感が芽生えやすくなるともいわれているので、好きな人がパスタを頼んだら、自分も同じものを頼んでみる。たったこれだけで、人は親近感を抱くといわれています。

 もちろん、同じ行動ばかりしていたら気持ち悪がられるのでは!? といった心配要素もあります。そこでおすすめしたいのが「横並び」です。実は、横並びには親近感を抱かせやすいという効果があるといわれています。

 向かい合うと、脳はお互いの動作を重ねにくくしてしまい、横並びの方が共感力をアップさせやすいそうです。デートのときはテーブルに対面で座るよりも、横並びで座れるカウンターの方がいいのです。

 不思議なものでケンカをするときって向き合っていませんか? 半面、優しくされるときは、隣で話を聞いてくれたりしませんか? 一緒に横に座ったり、ドライブに行ったり、生活の中に横向きを取り入れると◎。横並びになるような共同作業をすれば、相手との距離もグッと近くなるはずです。

 ただし、冒頭で説明したように、本当の気持ちを表に出すことを忘れないように。オレゴン大学などの研究によって、「本当の感情を表に出さないと他人から嫌われやすくなる」という結果(2016年)が明らかになっています。

 実験では4人の参加者に、笑える娯楽作品と泣ける感動作品を見てもらいました。その際、うち2人には「感情を表に出してください」、残りの2人には「感情を表に出さずに見てください」と指示をしました。その上で、観劇の全員の表情をカメラに収めました。

 観劇後、約150人の学生に、「笑える娯楽作品または泣ける感動作品を見ていた」という情報を与える、与えないにかかわらず、感情を出さなかった2人に対するイメージは厳しいものがあったといいます。「社交的に見えない」「自分とは合わなそう」「不安そうに見える」など散々な印象を与えてしまったほどです。

 押し黙ってクールに振る舞っても、他者が「あの人はクールだ」と判断するとは限りません。八方美人が他者から疎まれやすいのも、本心が見えないからこそ。気持ちを表に出すことは、立派な正攻法ですよ。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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