「早漏」は治療可能! 射精までの時間を薬で3~5倍に延長する

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 早漏──。メンズヘルス治療の専門家である「プライベートケアクリニック東京」東京院の小堀善友院長によれば、早漏は「立派な疾患」であり、「治療が可能」。詳しく聞いた。

「早く射精してしまう早漏は、射精が遅い遅漏と対義語のように思われがちですが、違います。早漏は脳の疾患で、遅漏は“性活習慣病”です」

 遅漏は不適切なマスターベーション(強く握りすぎる、床にこすりつけるなどの膣とは異なる刺激)が原因となっているケースが多い。この場合、不適切なマスターベーションを正すことが第一の治療となる。

 一方、早漏は、脳内物質セロトニンの不足で起こる。セロトニンは抑制系の神経伝達物質で、脳内の「射精をする」という指令をコントロールするが、それが十分にできないために射精を我慢できず、期待より短い時間で射精してしまうのだ。

「生まれつき早漏の先天性と、加齢とともに早漏になる後天性があります。EDの人は早漏になりやすく、最近では睡眠の質の低下が危険因子になると報告した論文もあります。EDがあれば、ED治療が早漏解決につながる人もいますし、ED治療と早漏治療を並行して行う人もいます」

 日本では「早漏は治療できる」ことが認知されておらず、エビデンスに基づいた早漏治療を行う医療機関も非常に少ない。しかし世界では早漏は広く研究されており、国際的なガイドラインでは定義や治療法が示されている。

「早漏の定義は、国際性機能学会のガイドラインでは、挿入後1分以内に射精してしまうこと、あるいは男女がともに満足できる時間まで挿入時間をコントロールできないこと。早漏が原因で性生活を避けようとし、人間関係や日常生活、心理状態まで支障をきたす人もいます」

■日本人の40%が該当

 国際性機能学会のガイドラインで示される早漏治療は3通り。薬物療法、行動療法、カウンセリングなどの精神的治療だ。ただ、効果が高く、使用方法が簡単な点から、代表的な治療は薬物療法となっている。

「早漏の治療薬として使われるのが、脳内のセロトニンの働きを増強させるSSRIです。中でもダポキセチンは即効性があり、代謝が早く副作用が少ない点が評価されており、早漏に対するオンデマンド治療に有効であることが6000人を超えるランダム化比較試験でも示されています」

 ダポキセチンの服用で、射精までの時間を3~5倍に延長できる。「プライベートケアクリニック東京」の早漏患者では、だいたい1~2時間ほどで効果が出始め、4~5時間は持続するという。

 アルコールと一緒に服用すると、気分が悪くなる場合があるので、勧めていない。ED治療薬と併用しても問題ない。

「ダポキセチンは世界50カ国以上で承認されていますが、日本ではそもそも厚労省が承認した早漏治療薬がありません。早漏治療は自費になります。当院では、初診時は問診などが必要なので5000円プラス薬代、ダポキセチンですと1錠1200円。再診以降は、再診料1000円と薬代になります」

 ダポキセチンは、インターネットでも売られているが、偽物が交ざっている恐れがある。安易に手を出すのは避けた方がいい。

 早漏治療のひとつとして、包茎手術を挙げているサイトもある。

「私はお勧めできません。早漏治療にいいというエビデンスがない上に、包茎手術後に包皮が足りなくなってしまったり、亀頭増大処置の後に感染を起こして痛みが取れなくなってしまったりなど、トラブルを抱えている人を少なからず見かけるからです。国民生活センターには金銭トラブルの事例が多く寄せられています」

 米国の報告では、18歳から59歳までの男性の21%が早漏と報告されている。日本国内の一般人への調査では、40%近くが早漏と自覚との結果。ポピュラーな疾患ともいえる早漏、「治療ができる」ということを知っておく意味は大きい。

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