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「お灸あたり」も起こる 自宅で実践するときに気をつけること

熱いほうが効くわけでもない
熱いほうが効くわけでもない(C)日刊ゲンダイ

 お灸は昔から日本人にとってなじみ深い民間療法の一つでした。セルフケアであれば、特別な免許もいらず手軽に自宅でお灸を据えることができます。幼い頃、おじいちゃんおばあちゃんにやってもらった……という方もいるのではないでしょうか。

 ただ自分で気軽にできるとはいえ、いくつかの注意点を理解し正しく行う必要があります。

 さて、ここで言うお灸は、一般の方が薬局などで普通に購入できる台座灸を想定してお話しします。

 お灸治療の本質は、軽度のやけどによる炎症反応を利用し、全身に好影響を与えるもの。しかしそのやけどの程度が強いと、どうしても痕が残ります。決して「熱い方が効く」わけでもないので、熱いときは我慢せずにすぐに取り外しましょう。

 またお灸を据えた直後または翌日あたりから、全身の倦怠感や疲労感などを自覚する「お灸あたり」というものもあるので注意が必要です。これは灸刺激による一種の過剰反応と考えられています。ちなみにこれを予防するには、お灸の数を減らし、その人に合った刺激量を調整する必要があります。

 もしも「お灸あたり」が出てしまったら、しばらく横になって安静にしてください。

 ちなみに市販のお灸は熱さが選べるタイプがありますので、初めての場合は熱が弱めのものから試してみるのもいいでしょう。また、試す部位も、顔など皮膚が薄くやけどしやすい箇所はなるべく避けつつ、手の甲など比較的すぐに外しやすいところで行うことをおすすめします。

 もちろんどこでも据えればいいわけではなく、やはりツボの上に据えることで効果を発揮できます。最近では一般の方向けの本も出版されていますし、お灸メーカーのHPなどでも具体的なやり方が紹介されていますので参考にするといいでしょう。

 いずれにしてもお灸を据える前に、自身の病状や効果的なツボについてなど、お近くの鍼灸院で相談することをおすすめします。

中村幹佑

中村幹佑

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師。

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