ニューヨークからお届けします。

米国ではコロナ感染急拡大の一方で…オミクロンBA.5対策はほぼ無視状態

マスクをせずにライブに参加する人たち(NBC「トゥデイ」のショーで歌う歌手のLizzo)/
マスクをせずにライブに参加する人たち(NBC「トゥデイ」のショーで歌う歌手のLizzo)/(C)ロイター

 アメリカのコロナ感染は再び増加に転じています。これまでで最も感染力が高いとされるオミクロンBA5株にウイルスが置き換わったためで、1日の感染者数は13万人。しかしほとんどのアメリカ人は、意識もしていないように見えます。

 ニューヨーク市内の感染は1日4000人を超えています。驚くのは検査感染率15%という高さです。この数字はどちらも市内の検査所からのデータで、実際にはもっとずっと多いと考えられています。今ほとんどの人は家庭用抗原テストキットを使って検査しているからです。実際にはデータの10倍いると言う専門家もいるほどです。

 ところが、街にコロナの存在感はほとんどありません。

 リモートワークはまだ多いものの、中心部は観光客でいっぱいになっています。コンサートなどのイベントやビーチも満員の人出で、マスクしている人はほとんどいません。今回の感染拡大で「屋外でも密な場所ではマスクを」と呼びかけられてはいますが、従う人は稀です。2年間我慢したのがまさに今はじけている感じです。

 先日7月4日の独立記念日の前後には、車や空の便を利用して帰省や旅行する人の数が、パンデミック前に戻ったと報道されました。  

  以前もお伝えしたように、BA5株の特色は、ワクチンを打っていても、またコロナにかかったことがあっても、感染することです。でも症状が軽いか無症状というケースも多いので、人々のガードは下がっています。

 一方で、入院者数と死者数がじりじりと上昇し、既往症を持つ人や免疫が低い人たちは、取り残されたという気持ちでいます。 

 そんな中ニューヨークでは、市が運営する30カ所の検査テントで、陽性になると自動的に治療薬が処方される、全米初の仕組みができました。 

 また米FDAは、ワクチンメーカーとして4社目となるノヴァヴァックスのワクチンを承認しました。重症化を防ぐ確率は90%、BA4株、BA5株株に対しても効果ありと報告されていますが、感染そのものを防ぐ効果に関しては十分なデータはないとしています。

 狭い屋内でのお酒を伴う会食で感染したというのが、周囲で一番多い印象です。筆者も昨夜混雑したライブハウスに行ったため、今朝テストキットで検査しましたが、陰性でひとまずほっとしました。 

 この先感染がどこまで拡大するのか? パンデミック収束はまだまだ見えて来ません。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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