コロナ後遺症を重症化させないために…絶対に守りたい3つのこと 発症から2カ月がカギ

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 コロナで無症状や軽症であっても、起こるのがコロナ後遺症だ。国内で先駆けてコロナ後遺症の専門外来を開設したヒラハタクリニック(東京・渋谷)の平畑光一院長に対策を聞いた。

「コロナ後遺症の症状は非常に多岐にわたっており、205個の症状を挙げる論文もあります」

 4000例を超える後遺症患者を診ているヒラハタクリニックのデータでは、症状で最も多いのが倦怠感で93.6%。

「倦怠感というと軽く感じるかもしれませんが、ドライヤーを持ち続けられないレベル。歯磨きもできない、トイレに行けずおしめが必要といった方もいます。運動選手のような体力のある方も例外ではありません」

 次いで多いのが、気分の落ち込み、思考力の低下、頭痛、息苦しさ、体の痛み、不眠、動悸、食欲不振。ただ、ここに挙がっていない症状も数限りなくある。

「5個以上の症状がある方が大半です。当院の統計では、コロナ回復時に症状がいったんすべて消えたら後遺症が出にくいが、何らかの症状が残ると継続しかねない。さらに、重症化はコロナ発症から2カ月以内に起こる。逆に言うと、2カ月を乗り切れば重症化の可能性は低くなる」

 重症化で寝たきりになってしまう人もいる。コロナ後遺症に至らない、たとえ後遺症が出ても重症化させないための方法は何か?

「絶対に守って欲しいことが3つあります」

【体がだるくなることは徹底して避ける】

「コロナの一部は『ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)』に移行することが明らかになっています」

 ME/CFSになると、強烈な全身倦怠感が続き、日常生活が著しく困難になる。要注意なのは「PEM」という症状で、近所への買い物や家族との喧嘩といったごく軽い労作やストレスの後、5~48時間で非常に強い倦怠感が出る。

「PEMを何度か繰り返すと、やがてME/CFSになる。PEMが出てきたら、少しの無理も禁物です。直ちに横になり休むようにしてください」

 PEMが出ないようにするには、「これくらいであれば体がだるくならないだろう」といった課題(料理を作る、お風呂に入るなど非常に負荷が軽い課題)をつくり、2週間続ける。まだまだ余裕があったら、少し負荷を増やした課題を2週間。それでもだるくならなければ、また少し負荷を増やした課題を2週間。

「調子が良いと感じても、2週間のうちは負荷を上げない。だるさを感じたら、速やかに休む。散歩や屋外の運動は、よほど良くなってから」

「体力が低下しているから散歩」「コロナで休んだ分、残業」で、結果、寝たきり状態まで悪化したケースを、平畑院長は幾例も見ている。

【鼻うがいをする】

 コロナ後遺症のほとんどが慢性上咽頭炎を併発している。

「慢性上咽頭炎は倦怠感をはじめ、かなりの症状に関係しています。後遺症が見られる方に、慢性上咽頭炎の治療法である上咽頭擦過療法を推奨しています」

 慢性上咽頭炎の対策は、自分でもできる。それが鼻うがいだ。

「1~2%の食塩水を片方の鼻の穴から入れ、もう片方の穴から出す鼻うがいを1日2回してください。鼻うがいの専用キットが販売されているので、利用するのも手」

【胃酸逆流を防ぐ】

「慢性上咽頭炎は胃酸逆流で悪化します。胃酸逆流対策は、後遺症にならない、なっても悪化させない上で重要です」

 寝る1時間前は水を飲まない。寝る3時間前はものを食べない。敷布団の下に毛布などを入れて腰から上を上げる。

 油物、甘い物、炭酸、カフェインは基本的にゼロを目指す。ベルトを締めるなどお腹に圧をかけることは避ける。丸まる姿勢もNGだ。

「正しい知識を身につけることで、後遺症発症、重症化のリスクを少しでも下げられます」

 頭に入れておきたい。

関連記事