東洋医学を正しく知って不調改善

なぜ鍼灸治療は不眠症に効くのか? 心と体を「中庸」に戻す

(C)日刊ゲンダイ

 眠ろうとしてもどうしても眠れない。そんな不眠体験を誰しもが持っているのではないでしょうか? 通常は数日から数週間のうちに改善されますが、時には1カ月以上にわたって続くこともあり、そんな場合を一般的に不眠症と定義されています。

 東洋医学では、不眠には4つの型があるとしています。

 寝る前に、次の日にやることを考えたり、その日のやり残していることを思い出したりして気にする「緊張イライラ型」。

 食生活が不規則で、夜、寝る前に食べたり、寝酒を飲むのが習慣になっている「食べ過ぎ消化不良型」。

 寝つきは悪くないが、眠りが浅く、すぐ目が覚めたり、早朝に目が覚める「のぼせ・集中力低下型」。

 寝る前に人間関係の悩みやネガティブなことについて思い悩み、不安な気持ちになり、胸がドキドキする「不安くよくよ型」です。

渡邊靖弘氏(提供写真)
渡邊靖弘氏(提供写真)

 東洋医学の中でも鍼灸治療は、心と体を中庸に戻し安らかな状態にするので、不眠症に効果があります。

 鍼をすると、まず血流が良くなり、ホルモンバランスが整うと同時に自律神経が整えられます。

 体は温かくなり、ほてりなどの余分な熱は冷まされ、さらに体や脳の緊張やそれに伴う疲れを取り除き、本来のバランスを取り戻し、不眠が改善されるわけです。

 ちなみに、そんな不眠に効果的なツボとしては、頭の上の中央にある「百会」があります。そこを中指や人さし指を使い、前後に指圧したり、親指以外の4本の指を使って頭のてっぺん辺りを広く刺激してもいいでしょう。

 ただし、あまり長時間にわたって刺激すると、のぼせる場合もあるので注意が必要です。

 眠れない日が続いた場合、「早く眠らなければ」と焦れば焦るほど目が冴えてしまうもの。その場合は常識的な範囲内で寝床で休む時間を決め、眠れなければ寝床から出て、日中、目を閉じるなどの休息を取ればいいでしょう。

渡邊靖弘

渡邊靖弘

日本医学柔整鍼灸専門学校専任教員、日本伝統鍼灸学会理事、和ら会会員、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師。

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