日本でも話題になった、日本の老人ホームの「赤ちゃん職員募集」が、アメリカのニュースでも取り上げられています。
ニューヨークタイムスやヴァイス・ニュースなどが紹介したのは、北九州にある老人ホーム「もやい聖友会いちょう園」。
高齢者が暮らす施設で、乳児から3歳までの32人の赤ちゃんが働いています。仕事は入居者と一緒に施設内をお散歩したり、時にはハグしたり。1回1時間働いた報酬としておむつや粉ミルク、近くのカフェでお茶が飲めるクーポンがもらえます。
記事では、高齢化が進む日本では、老人ホームの数が2005年から15年間で、2倍の180万軒に増えた。そんな中で画期的な試みとしてスポットライトを浴びていると伝えています。
この企画を始めた権藤喜美恵理事長は、「昨年、生まれたばかりの孫を連れてきてみたら、入居者の顔が笑顔でいっぱいになったのを見て思いついた」と語っています。
社会との接触が少ない高齢者にとって、こうした触れ合いは寂しさを軽減するだけでなく、メンタルな病気の進行を遅らせ、血圧を下げ、死亡のリスクを下げるメリットがあるといいます。
一方、この年代の子供たちは、1日中お母さんと2人で過ごすことがほとんど。大人とのふれあいは、社会的、個人的な発達を促す効果があるそうです。
実はこうした試みは既に、アメリカをはじめ世界中で展開されています。
例えばワシントン州シアトルにある施設、プロビデンス・ラーニングセンターでは、1991年に老人ホームと保育園が同じ敷地に作られ、乳児から5歳までの子供と高齢者がふれあうイベントが、定期的に開催されています。
「世代間ケア」と呼ばれるこのアプローチを最初に行ったのは、実は日本です。1976年、東京の江戸川区に初めての施設がつくられました。プロジェクトを率いたのはShimada Masaharuさんという方。欧米の専門家の間では、先駆者として知られているようですが、なぜか日本語で検索しても出てきませんでした。
これを機会に世代間ケアの大切さが、日本や世界にもっと広まることを願っています。
ニューヨークからお届けします。