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風邪をひきにくい体にする漢方薬やツボは? バリアー機能を正常化

(C)日刊ゲンダイ

 漢方医学では風邪をひきやすいのは、気の働きである防御作用の低下によると考えられています。

 防御作用とはウイルスや細菌など外部の邪気から体を守り、それらの侵入を防ぐ働きのことで、いわゆる現在でいうところの免疫におけるバリアー機能にあたります。したがって、風邪をひきにくい体にするには、気の働きを高め、バリアー機能を正常化することが必要になるわけです。

 代表的な漢方処方としては、貴重な玉でできた屏風のごとく体をガードし、風邪を寄せ付けないという意味を持つ「玉屏風散」や「補中益気湯」があります。

 特にこの補中益気湯は興味深く、もともと真ん中を意味する補中から転じて、体の真ん中にある胃腸の気を補うという意味を持っています。

 風邪(邪気)の侵入を防ぐ役割を担っているのは主に肺の気なのですが、肺の気の後ろ盾として胃腸の気があり、胃腸の気を補うことにより、防御が強まるという考えに基づいているのです。軍隊でいう戦力を補充輸送する後方支援部隊といった存在でしょうか。

王瑞霞氏(提供写真)
王瑞霞氏(提供写真)

 また、風邪をひきにくくするツボとして昔から知られるツボに膝下にある足三里と、へその真下にある関元があります。

 中国では古くから病気知らずの体にするには、常にこの足三里を刺激すると良いという言い伝えがあるほどで、日本でも滋養強壮の要穴として知られています。

 また関元は、腹式呼吸や気功を行う上で必ず意識する場所でもあり、虚弱体質の改善や冷え症などの対処に良いツボとして知られています。

 このように漢方やツボの力を借りることは風邪の対処には有効。さらには、規則正しい生活習慣、栄養バランスの取れた食事、適度な休養を取ることが風邪を一層ひきにくい体にしてくれます。なお、補中益気湯や紹介したツボは、コロナ対策でも話題にのぼります。

王瑞霞

王瑞霞

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

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