健康長寿のカギは腎臓にあり

腎臓は体内の環境を整備する司令塔 不要物の排出が重要な役割

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 みなさん、腎臓ってどんな臓器で、どんな働きをするか、ご存じですか? 腎臓に関連する用語で「人工透析」くらいは知っていても、それ以外となると、首をかしげる人が多いのではないでしょうか。

 しかし、腎臓は機能低下がある段階を超えると治療に一生懸命取り組んでも元の健康な状態に戻りにくく、また、機能低下が寿命にも関係することから、腎臓の専門医を中心に医療関係者の間で腎臓の認知度を上げようという動きが近年出ています。今回から腎臓について、基礎的なことから最新情報まで、わかりやすく紹介していきたいと思います。

 さて、まずは腎臓の場所からお話ししましょう。腎臓があるのは、背中の肩甲骨のちょっと下あたり。背骨を挟むように左右一対ずつあります。2つありますが、働きは同じ。左右2つの腎臓で力を合わせて体を守っています。

 腎臓ひとつの大きさは、にぎりこぶしよりやや大きい程度です。「そら豆のような」としばしば形容される通り、中央の内側が少しくぼんだ楕円形をしています。

 腎臓の役割のひとつが、体内の不要なものを排出するというもの。

 腎臓の中には、細い毛細血管が毛糸のように丸まった「糸球体」があり、これがフィルターとなって、血液中の老廃物や塩分、電解質など不要なものをろ過します。きれいになった血液は再び全身をめぐり、一方で不要物は腎臓のボーマン嚢(のう)という部分に運ばれます。これを原尿と呼びます。

 ボーマン嚢に運ばれる原尿は、成人で1日当たり150リットルほど。これらがすべて尿として排出されると脱水症状を起こしてしまいます。そこで、原尿はボーマン嚢からつながる細尿管という組織を通り抜けるのですが、その間に原尿内のブドウ糖、水・無機塩類など体に必要な成分や水分が再吸収され、最終的に残ったものだけが尿道を通り、尿として排出されるのです。

 腎臓は、体の中の環境を整備する司令塔と言っていいほど、重要な臓器なのです。

森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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