老眼が気になる中高年こそ知っておきたい「最新メガネ事情」

写真はイメージ
写真はイメージ

 10月はメガネと目にまつわるイベントの多い月だ。10月1日は「メガネの日」、10月10日は「目の愛護デー」で、10月1~10日は「目とメガネの旬間」と呼ぶそうだ。ならばこの際、中高年が気になる進化した「老眼対策用メガネ」について考えてみたい。「㈱ニコンメガネ」(東京・南青山)社長の加藤宏太郎氏に聞いてみた。

 メガネは昔に比べるとお手頃価格のものが増えてきた。しかし、その一方で高価なメガネもある。特に老眼を自覚した頃に購入するメガネには価格差が大きい。何が違うのか?

「鼈甲(べっこう)など贅沢なフレームの違いだけと思われがちですが間違いです。いまは最新の光学技術を駆使したさまざまなレンズがそろっていて、その人の目の状態に合ったより目に優しいレンズがあります。そしていまの眼鏡店はそのレンズの機能を十二分に発揮するためのフレームとメガネ作りの技術を持つ。価格はそれを反映したものです」

 現代人はパソコンやスマホ画面といった近くのものを長時間見る生活をしている。特に仕事でパソコンを長時間使う場合は自然な姿勢が大切で、メガネが合っていないと首を前後に傾けて見たり、画面に近づいたり、遠ざかったり、不自然な姿勢でのパソコン作業が続くことになる。これは非常につらい。人生100年時代を迎え、70歳現役がささやかれるいま、目に優しいメガネのことは真剣に考える必要がある。

「良いメガネを作るにはパソコン画面の距離と視線に合わせて、レンズのタイプや度数を選び、レンズと目の位置関係を精密に調整することが重要です。これには眼鏡店スタッフの広く深い知識と熟練した技術がどうしても必要になります。ましていまは、老眼対策用メガネが進化していて、1本のメガネでさまざまな距離が見えるようにできています。カギとなるのが、その人に応じたレンズ選びとレンズの機能を十分発揮するためのメガネを作る技術力なのです」

 しかし、いままで視力が良かった人ほどメガネを一種のハンディと感じて否定的な考えを持っていることが多い。残念なことだ。

「老眼の症状はこれまでメガネと無縁だった、視力の良い人ほど早く自覚すると言われています。しかし、メガネをすることに抵抗感があり、眼鏡店に行かずにまずは既製の老眼鏡やルーペを使い始める方も多い。しかし、使ってみると、掛け外しの不便さや長時間の作業で疲れるなど、煩わしさを経験することになります」

 そうならないために最初におすすめしたいのは「近用ワイド」あるいは「近近タイプ」と呼ばれるレンズ。手元から少し先までピントが合い、掛けたまま歩けるので便利だという。

■老眼は60代後半まで進行する

 一方、もともと近視だった人が老眼になると度数を落としたメガネを使い始める場合もある。たしかにパソコンやスマホが見やすくなるのだが、その犠牲として遠くがハッキリ見えなくなる。

「近視の方がパソコンやスマホの文字を読むのがつらくなったら、ぜひ『遠近両用レンズ』を使っていただきたい。遠くの見え方を犠牲にすることなく、パソコンから手元まで自然にピントが合う快適なレンズです」

 老眼は60代後半まで進行していく。50代後半になると「遠近両用レンズ」や「近用ワイドレンズ」だけでは不便を感じるようになる。

「そんな50代後半からの老眼対策には『中近タイプの累進レンズ』がおすすめです。仕事に趣味に『見たい』近くがストレスなく見えます」

 価格はレンズだけで数万円から10万円以上と幅があるが、高性能なレンズになるほど自然で違和感のない見え方になり快適だという。

「ただし、これら老眼対策レンズでは目とレンズの位置関係が大切です。メガネがずり落ちてしまうと本来の性能が出ません。しっかりとしたフィッティングが必要です。日本製のフレームはフィッティング機能に優れたものが多くあります。テンプル(つる)の部分にバネ性があり、顔を抱きかかえるようにフィットするタイプがおすすめです」

 なお、メガネ作製において、最適な提案・販売・ケアを行う総合エキスパートとして、今年11月中旬に国家検定資格である眼鏡作製技能士1期生が誕生する。眼鏡店選びの参考になるはずだ。

 いいメガネでいい見え心地を手に入れることで仕事も生活も充実する。信頼できる眼鏡店でじっくりと見え方を比べてみてはどうだろう。

関連記事