子供の「ドライアイ」に要注意! 目の不調に加え近視リスクも

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 スマホやタブレット、パソコン(VDT)の使用が日常になっている今、大人だけでなく子供も角膜のケアに注意すべきだ。専門医に聞いた。

■親がアイケアをしていない家庭ほど子供も無頓着

 眼球の一番表面の部分が角膜だ。角膜は生きた細胞がむき出しになっており、涙液の層が角膜を覆って細胞を守っている。ところがVDT作業に集中するとまばたきの回数が4分の1に減少。それにより涙液が減少し、目の表面が乾く。さらに、エアコン、ハンディー扇風機、マスクから漏れる呼吸、コンタクトレンズの使用などが加わると、目の表面の乾きが一層ひどくなる。

 杏林大学医学部眼科学の山田昌和教授が言う。

「涙が異物を洗い流して角膜を守っているのですが、涙液層が不安定になると、角膜がむき出しになって異物で傷つきやすくなります。涙がほとんどない状態になると、まばたきだけでも角膜に傷がつくようになるのです。本来、角膜には自己修復機能が備わっています。しかし、それが追いついていない」

 涙液層が不安定になった状態(涙が減って目の表面が乾いた状態)がドライアイだ。これが続くと、前述の通り角膜に傷がつきやすくなる。これを角膜上皮障害という。

「大人の角膜上皮障害も問題ですが、近年、多くの眼科医は子供のドライアイに危機感を抱いています。従来、子供はドライアイと関係なく中高年の病気、という認識を眼科医は持っていた。しかし、そうではなくなってきている。なかには角膜上皮障害を伴うケースも出てきているのです」(山田教授)

 先駆けて論文が発表されたのは2008年。3443人の高校生を対象にドライアイ検診を実施したところ、男子21%、女子24.4%にドライアイ症状があり、角膜上皮障害を伴う人は男子4.3%、女子8%。

 別の調査で、VDTの利用時間は、06年の67分に対し、22年は約3.8倍の254.7分という報告もある。子供のドライアイは、08年の結果よりも増加していることが容易に想像できる。

「角膜に傷がつけば、文字がぼやける、目が常に乾いてショボショボする、目がかすむ、寝ても疲れ目が解消しない、痛みを感じるなどの症状が出てきます。見えづらいからと目を凝らしてものを見るようになり、毛様体筋の緊張が続いて近視のリスクが高まる可能性もあります」(山田教授)

 そう多くはないケースではあるものの、角膜の傷が菌に感染し、感染性角膜炎から失明……といった最悪のパターンもありうる。子供の場合、目に何らかの不調、異常があっても、それをうまく言葉にして伝えられないこともある。

■すぐ実践できる3つのアイケア

 伊藤医院眼科の有田玲子副院長は「親がアイケアをしていない家庭のほとんどが、子供もアイケアができていません。大人も子供も目を酷使する時代ですから、大人から率先して実施する必要がある」と指摘。すぐに実践できる方法として有田副院長は次のことを挙げる。

【目を温める】

「温めると涙の蒸発を防ぐ油層が適切につくられ、涙の質が上がります」

【ビタミンA入り点眼薬を使用する】

「ビタミンAには角膜修復機能があります。防腐剤無添加の商品を選んでください」

【まばたきエクササイズをする】

「まばたきをした際、上下のまぶたがきちんと閉じられていない人が少なからずいます。これはまばたきの筋肉が弱っているのが要因。そのトレーニングとして習慣化して行ってほしい」

 まず、目をパチパチまばたきし、ぎゅーっと上まぶたに力を入れる。このとき、眉間にシワを寄せるのは間違い。次に、まぶしいときによくする上目でパチパチする。指でこめかみを引っ張り「きつね目」にして目を閉じる。これを5回1セット、1時間ごとに行う。

 今日から親子で実践だ。

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