東洋医学を正しく知って不調改善

東洋医学で「こむら返り」はどのように対処しているのか

写真はイメージ
写真はイメージ

 足がつる、いわゆる「こむら返り」は、一般的にふくらはぎの筋肉が激しく収縮して引きつれる状態を言います。

 こむら返りの「こむら」は漢字で書くと「腓」。すねの後ろ側の部分を指し、ここには腓腹筋という筋肉があり、こむら返りはその腓腹筋が激しく収縮することで起こります。

 原因としては、マグネシウムやカルシウム、さらにはカリウムなどのミネラル不足とされていますが、中でもマグネシウム不足が根幹にあります。

 症状が出やすいのは就寝中、特に明け方が多く、また激しい運動中や筋肉を使いすぎた後にも見られます。

 東洋医学ではこういった筋肉の引きつれを「転筋」や「拘急」などと呼んでいます。その原因は次の2つにあると考えられています。

 1つは、足や下半身に冷風などが当たって冷えたことによる筋肉の収縮。もう1つは、体にとって必要な「気・血・水」のうち、血の不足により筋肉から十分な栄養が行き渡らなかったため。後者の場合、転筋のほかに、めまい、目のかすみ、動悸、眼瞼結膜が白っぽいなどの症状が出ることも少なくありません。

 セルフケアとしては、まずは足を冷やさないように注意する。ふくらはぎの真ん中にある承筋というツボに市販のお灸をしてもよいでしょう。

 また、血の不足による場合はすねの外側、膝のお皿の下から指4本ぶん下にある「足三里」、内くるぶしから指4本ぶん上の骨と筋肉の境目あたりの「三陰交」を指圧したりお灸したりするとよいでしょう。

 お灸も指圧も効果が期待できますが、やり過ぎには注意が必要ですから、まずは鍼灸師に相談してください。

 一方、漢方処方では「芍薬甘草湯」が即効性のある漢方としてよく知られています。

 ただし、アルドステロン症やミオパチー、または低カリウム血症のある患者さんはくれぐれも使用は控えてください。

▽西野祐介(にしの・ゆうすけ) 日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。はり師・きゅう師・柔道整復師。

西野祐介

西野祐介

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。はり師・きゅう師・柔道整復師。

関連記事