食事でストレスを軽減するなら「GABA」を意識して摂取する

発芽玄米には白米の15倍ものGABAが含まれる
発芽玄米には白米の15倍ものGABAが含まれる

 生きるうえで欠かせない日々の「食事」でもストレスの軽減を図りたい。意識すべき成分は「GABA(ギャバ)」だ。栄養学の専門家で横浜創英大学名誉教授の則岡孝子氏に解説してもらった。

 GABAは人間を含む動植物の体内に広く存在しているアミノ酸の一種で、精神を安定させる抑制性の神経伝達物質として機能している。経口摂取すると、小腸で吸収されて血液に取り込まれ、末梢の自律神経系でノルアドレナリンなど興奮性のホルモンの放出を抑制して副交感神経を高進させ、ストレスを緩和する作用があると考えられている。30ミリグラムのGABAを摂取してから30分後に副交感神経が優位になったという研究も報告されている。また、血圧を下げたり、睡眠の質を高める効果も認められている。

「通常の場合、GABAは体内で十分な量が産生されています。しかし、過度なストレスにさらされていると、ストレスを緩和するためにたくさん使われて不足しがちになります。そうなると、緊張状態が続いてストレスがどんどん蓄積されてしまいます。また、GABAは睡眠中に体内で合成されるので、睡眠時間が不足していると減ってしまいます。ですから、寝不足、疲労がたまっている、強いストレスを感じているといった人は、日々の食事でGABAを摂取することが大切です」

 GABAはさまざまな食品から摂取できるが、中でも発芽玄米に豊富だという。白米の100グラムあたり1ミリグラムに対し、発芽玄米には100グラムあたり15ミリグラムのGABAが含まれている。野菜では、トマトに100グラムあたり35ミリグラム、ナスに32ミリグラムが含まれ、ケール、カボチャ、パプリカにも多い。果物ではメロンやバナナに豊富だ。漬物などの発酵食品にも多い。

「厚労省では、GABAの1日の推奨摂取量などは特に定めていません。また、GABAの不足量は人によって異なり、明確にどれくらいの量を摂取すれば効果的かどうかも変わってきますが、研究では、ストレス軽減やリラックス効果を期待する場合、成人の1日の推奨摂取量は30~100ミリグラムとされています。通常ならば30ミリグラムで十分で、ストレスを強く感じている人は多めに摂取するように意識するといいでしょう」

 最近は発芽玄米を使ったお餅がいくつも販売されている。お正月休みを利用してたまったストレスを解消するために、こちらを選んでみるのもいいかもしれない。

「さらに、GABAを効率的に摂取するためにはタンパク質とビタミンB6を同時に取るのがおすすめです。体内でのGABAの合成を促したり、代謝を高める働きがあります。ビタミンB6は、アジやサンマなどの魚や、ヒレ肉やササミ肉、ニンニクなどに多く含まれています」

 また、緑茶に含まれるうまみ成分であるテアニンには、GABAを増やす作用があり、テアニン水を摂取して40分後から、リラックス効果が表れたことがヒトを対象とした試験で報告されている。

 毎日の食事でなるべくGABAが多い食品を取るよう意識すれば、ストレスを減らすことができそうだ。

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